第73話ルナリーにイマイチ意味が伝わっていなかった件

大晦日、正月は日本の様には盛り上がらない。


お年玉も無ければ初詣も無い。


と言う訳で歌の練習をしている。


夜の女王のアリア


今まできちんと歌った事は無かった。まじで難しい。


記憶が戻った今、思い返すとこの曲はコマーシャルや挿入歌で結構使われていたんだなあと思う。




とにかく肺活量と腹筋が足りない。


「ha」だけで歌われる音階のスタッカートの長い事長い事。


ブレスが上手く出来ない。




やはり身体を鍛えねば!


表現力も全然足りない。魔笛のストーリーの勉強もしよう。




予選の曲はどうしようかなあ。




そんな真面目な新年を迎えて居た時だった。




母が部屋のドアをノックする。


「練習中ごめんね。入るわよ」


「どーぞー」




母は不思議そうな顔で封筒を渡してきた。




「郵便屋さん休みなのにね」




日本の正月と違って年賀状配達などは無い。


私は封筒を受け取った。


「ありがとねー」


母が部屋を出ていった後に封筒の宛名を見る。




住所と私の名前。




消印が無い。裏に差し出し人の名前も無い。




果たし状?とかなら昔良く貰った覚えがあるんだが。


とりあえず開けてみる。






『天使の歌声の君へ』




『やっと君の家を見つけたよ』




うっわー!これは会長の言ってたストーカー!?




やはり果たし状だ。


名前も日付もないと言う事は闇討ち宣告ってことだな!




クソ!家が解ったから何時でも殺せると言いたいのか!




私は窓を開けて外を凝視する。もう居ねえか?何時ポストに入れやがった?


全く!宣戦布告上等じゃねーか。受けて立つ!




特殊警棒はあるけど何か他にも武器が欲しいとこだな。


メリケンサックナックルカイザー売ってあるのか?




まあ、売ってなくてもこれは鍵で代用出来るか。(鍵を指の間に挟んで殴ると凶器になります。良い子は真似しないでね。)




竹刀は売って無いか。木刀作ろうかなあ。




今の私が学校に木刀持って行ったら怪しいか。




何か目立たない武器。バレない武器。




「そうだー!鞄に鉄板仕込もう!」




昔やってたねえー。盾にもなるし殴っても良し。


ふふふふふ。




刃物は使わない。昔からの流儀は守る。




紅夜叉特攻隊長に喧嘩を売った事を後悔させてやらなきゃね!

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