第68話両親達


殆どの礼拝客が帰っていた。


大司教様と話している数名。皆の両親だろう。




此方に気付いた大司教様に頭を下げると両親達も振り返る。


「クライス!良く頑張ったわね!」


「凄く上手かったぞ!」


クライスの両親が笑顔で褒めている。クライスに似た優しそうな両親だ。


「キャサリン!本当に貴女、歌の方が才能あるじゃない」


「綺麗だったなあ」


キャサリンのお母さんはキャサリンと良く似ている。キャサリンの家に言った時に話した事がある。悪役令嬢顔だが優しい人だ。お父さんは爽やかな感じなんだなあ。褒められてキャサリン嬉しそう。


「ジェファーソン。良く頑張ったな」


「新しい賛美歌良かったですわ」


王と王妃も微笑まれている。


他の両親もそれぞれ息子を褒めている様で良かった。




ルイスに似ている。自分が緊張しているのが解る。


「ルイス。お疲れ様。美しい歌声でしたよ」


「新しい賛美歌と聞いて不安だったが素晴らしかった」


2人はそう言ってくれた。


「ありがとうございます」


ルイスは両親に一礼する。




「紹介します。此方、ルナリー・ウェールズさん」


私は深くお辞儀をする。


顔を上げ笑顔で


「初めまして!ルナリー・ウェールズです。宜しく御願いします。」


と再度お辞儀をした。顔を上げるのが緊張する。


少しの沈黙も怖い。値踏みをされているようなそんな感じ。


「初めまして。ルイスの父です。」


「初めまして。ルイスの母です。」


2人はそう言った。私は笑顔で乗り切ると決めている。


沈黙。。何か話してくれ。


「ウェールズさんは声楽科ですか?」


ルイスのお父さんが聞いてきた。


「はい。そうです。」


私は穏やかにハキハキと答える。


「澄んだ、、凄く綺麗な声だったわ」


ルイスのお母さんがそう言われる。


「勿体ないお言葉。ありがとうございます。」


私は一礼した。


2人は少し考えている様だった。


「ボードウェン音楽コンクール」


ルイスのお父さんが少し笑みを見せながら言った。


「コンクールで金賞を取るくらいの箔が欲しい」


ルイスのお母さんも微笑まれる。


「交際だけは認めるわ」


婚約はコンクールが条件って事だな。


「ありがとうございます!頑張ります!」


私は再びガッツリとお辞儀をした。




「ありがとう。」


ルイスは少し不満そうだったがそう言った。


「先に帰る。遅くならずに帰りなさい」


ルイスの両親はそう言って帰って行った。




「きっつー」


「何、安請け合いしてんだよ!!」


ボードウェン音楽コンクールって国で1番のコンクールっすね。


国際コンクールって言われてないからまだマシだと思うけど。


「何か自分がだんだん真面目になって行くようで嫌だ」


ルナリーのスキル真面目な良い子のお陰で乗り切った様な気がするが素が一切出せてない。




「話しは終わったかい?」


王子が寄ってきた。私達はうんうんと頷いた。


「コンクール金賞取れって言われた」


と言うと苦笑いしかがら


「厳しいね。でも出来そうじゃない?」


と言ってくれたので嬉しい。


「明日、打ち上げをクライスの家で。12時から」


おー!打ち上げ!!


「参加するー!」


その後、他の御両親にもご挨拶をして回った。皆の反応は良く、このグループの解散は免れた。




「キャサリン、コンクールで金賞取るのが条件」


キャサリンにボソリと呟く。


「あんたなら大丈夫よ。金賞上等!でしょ?」


そう言われると勇気が出てきた。


「おー!何かクソ真面目ルナリーで落ち込んでたぜ!」




「私も王妃に好かれる様に頑張るから!」


キャサリンも難題なのかも知れない。




本日は解散となった。


キャサリンと王子


私とルイスはちょっとお出かけする。クリスマスデートだ。


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