第66話ミサコンサート①


荘厳なミサが始まった。


ミサ開始は賛美歌と共に。その後大司教様の有難いお話しや礼拝などが行われる。見るからに上流階級の方しか来られていない。


この後、クリスマスミサコンサートが始まる。私達の前に4組の大人グループと大学生グループが控えている。はっきり言ってプロ集団に近い。


クリスマスミサコンサートが始まった。


クラシックのコンサートの様に静かな雰囲気。場違い。そう言う言葉が過ぎる。


控え室は後部にあるのでドアをこっそり開けて中の様子を除き見る。


「ねえ。大丈夫なのかしら?」


キャサリンの顔が強ばっている。私は初めてだけど皆は来たことあるんだろうけどなあ。


「どうしましょう」


エミリアの顔が赤くなったり青くなったり忙しい。


「どうした?」


「来てらっしゃるんです。彼が。。」


「どれ?どれ?!」


私とキャサリンは教会内をキョロキョロと探す。


「あの後ろから3列目の右から5人目の方」


ほうほう。茶色の髪の男性ね。顔が良く見えないから歌う時に確認しよう。


1組目、2組目と普通のミサで歌われる曲目が披露されていた。


綺麗で上手い賛美歌だ。


「上手いですね」


「胃が痛くなる」


クライスとジョージが呟いている。生徒会長が優しく2人の肩を叩いてリラックスさせていた。


3組目。もろびとこぞりてが被った。


「大司教さんこう言うの教えといてくれよな」


ルイスが愚痴る。しかも上手い。


「着替えようか」


そう言うと皆、決意したように頷いた。思った通り他の4組は聖歌隊の衣装に身を包んでいた。


私は袋からゴソゴソと取り出す。


「はい!どーせなら被ろう!!」


サンタクロースの赤い帽子


「あ!可愛い!」


もうどうせならなりきって仕舞おうと作成した。


「姐さん凄いですね」


笑いながらカインが被る。みんな一気に可愛くなる。


顔が緊張から綻んできた。


「本日は私のお願いでアリア音楽学院の生徒をお呼びしました。可愛いらしい高校生の新しい賛美歌をお聞き下さい。」


大司教様が4組目が終わってそう仰った。


私達の参加を知らない上流階級の方々が少しザワついている感じがした。


「リラックスですよ!」


王子が笑顔で呼び掛ける。


私達は礼拝堂の前に出る。


「可愛らしい」「サンタクロースね高校生らしいわ」「まあ、可愛いわ」「夢があるねえ」


そんな言葉がヒソヒソと聞こえてくる。


衣装がウケている!!!少し安心した。




並んで礼拝客を眺める。深呼吸。そして笑顔。


もろびとこぞりて


編曲により最初は私のソロから始まる。


行くよ!皆と目を合わせて頷く。良い笑顔!




「Joy to the World! the Lord is come」


礼拝堂に声が響く。そして皆で


「Let earth receive her King;」


綺麗なハモりが響いていく。


美しい声が綺麗に絡み合う。




皆も笑顔で本当に綺麗に歌えている。


これは成功だと言えるな。




そして2曲目が始まる。

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