第24話 メイドの皮を被った悪魔達
―――ズト………カズトよ、君は自分の目で確かめる事を知るべきだ、さもなくば君は………。
「ハッ………!」
俺は目を覚ます。
さっきの声は誰だろう?なんだか懐かしい声だったな………。
うーん、分からない。
そういえば、俺は今何してたんだっけ?
イタッ!
そうだ、頭をぶつけて寝てたんだった。
それにしても、このクッション柔らかいな、さすがは一流のホテルだなと感じるくらいのベットだ。
………そうじゃない、レナとヴァイスはどうしたんだ?
久しぶりに寝たから目がぼやけてる。
くそっ、早く起きないと………。
待て、何でこのクッションから心音が聞こえるんだ?
その時、同時に俺の後ろから走る足音がする。
「ハアハア、すみませんレナ様、お、遅くなりましたっ!!」
息を切らしている一人の若くて明るい女性の声がする。
「あの?何故ドアが開いているんですか?レナさ………マ!?」
どうしたんだろう?何か変な物でも見たのだろうか?
それとも、ギャル語の『マジ!?』の『マ!?』か。
まあ、後者のそれは多分無いよな?
「おい、今すぐそこから離れろ………。」
その女性は先程明るかった声が突然音程が低くなる、
怖くなった俺は直ぐ様起き上がる。
すぐ立ったからか、目眩が起きている。
うっ……気持ち悪い………。
「分かった、い、今起き上がるから………。」
俺はそう良いながら顔を上げると、俺の顔がクッションではなく、レナの胸に挟まっていて、左手はヴァイスの胸を触っていた。
二人はまだ気絶しているのかそれとも寝ているのか分からないが、二人とも笑みを浮かべながら寝ていた。
俺はゆっくりと立ち上がり、そして両手を天高く上げる。
後ろを振り向いて、その女性の方を見る。
そこにいた女性は可愛らしいメイド服を着ていて、背丈もレナと変わらない位で髪も目もキラキラと輝く金髪碧眼の髪型はツーサイドアップのエルフであった。
その女性は右手に刃物を持ち、息も荒くなっていた。
まるで俺を今すぐに八つ裂きにして殺すかのような目をし、殺気も出会った頃のフレイヤやレナとは比べられない位に強い。
すると、その子は俺の襟を握りながら、振り回し、俺を廊下の壁に投げつける。
俺は壁にぶつかって顔面を強く打ち、鼻を強打する。
鼻血はボトボトと垂れ落ちたが、鼻の弱い痛みだけで幸い鼻は折れてないと思う。
それでもメイドはまた俺の首に刃物を向ける。
「おいテメェ、そこで何やってたんだ?」
「まま、待ってくれ、本当にこれは事故なんだ。」
「嘘をつくんじゃない………何かの理由で気絶した二人をテメェが襲ったんだろう?え?違うか!」
「ちちち、違う!そんな訳無いだろう!?俺も気絶していたんだよ。」
「フッ、テメェの様な獣みたいな糞男の言葉が信じれるか?」
駄目だ、このツインテールメイドには俺の話が通用しない。
というか、どこで俺を『獣みたいな糞男』と判断したんだ?
というより、誰か早く助けてくれー!!
ホントにエルフって怖すぎるだろ!
清純でお淑やかで優しそうなイメージだったけど、レナもフレイヤもヘルマンさんも、みんな怖い!
というか、災難続きでホントに辛い………。
すると、俺の声かメイドの声かきっかけは分からないが、ヴァイスがゆっくりと起きる。
「うーん………カズト様どうしました?ってカズト様っ!?」
「ヴァイス起きたか、俺の事は良いから早く逃げろ………。」
ヴァイスが俺の顔を見ると、ヴァイスは一気に青ざめ、次の瞬間激怒する。
「カズト様を傷つけるなんて万死に値するです………。」
「あ、あれ?ヴァ、ヴァイス?」
あれ?なんかキャラ変わったかな?
あの笑顔の絶えない可愛らしいヴァイスは消えて、まるで悪魔の形相をしたヴァイスがそこに居た。
女の子はヴァイスを鼻で笑い、表情を変えないでヴァイスの方向に振り向く。
「我がヴィルヘルミナ様に不埒極まる行為をしたので制裁しているのに邪魔しないで下さいよメイド風情が………。」
いや、あんたもその格好、メイドやん………。
って、そんな事を思っている場合じゃない。
メイドは持っていた刃物を俺の首筋にジリジリとゆっくり近づけ、刃が首に触れる感じがする。
痛みは殆ど無いが、血がゆっくりと首筋を垂れる感じがした。
その瞬間、ヴァイスは一瞬驚き、そして激昂する。
「カズト様を傷つけるなぁ!!!」
ヴァイスは物凄いスピードでこちらに突っ込む。
しかし、メイドはヴァイスが近づいた瞬間、右足でヴァイスの腹部を蹴る。
「ウッ!」とヴァイスは何かを吐く一歩手前の様な声を出し、レナの部屋の奥の壁まで蹴り飛ばす。
壁にバンッと強くぶつかった様な音が部屋だけでなく、廊下まで響いている。
「ヴァイス!?ヴァイスーー!!」
俺はヴァイスの名前を呼ぶが、返事が無かった。
「大丈夫だ、殺すほどの蹴りでは無いから安心しろ………まあ、次は貴様を始末する番だ、変態野郎!」
そう彼女が言うと、俺の首を強く掴み、彼女は刃物を壁から離し、自分の首に突き刺そうとする。
首を掴まれた為、大声も出せないし、しかも息が出来ない、オマケに逃げる事も出来ない………。
クソッ!俺はこの世界で何も出来ないまま、ここで死ぬのか………。
俺は『死』を覚悟して、涙を流し目を瞑った。
だが、メイドが刃物で刺そうとした途端、後ろから黒い影が一瞬現れ、彼女の首を強く叩いた。
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