第4話 拝啓、予測できません
拝啓、マイホーム失敗人間様
私の名前は、杉本 哲平です。25歳で念願のマイホームを購入しました。家はすごくちっちゃいですが、駅から徒歩10分。そのほとんどを商店街のアーケードの中を通れ、コンビニ徒歩1分でよく行く本屋さん徒歩2分。この立地に大満足で購入しました。
私は、コンビニ人間でコンビニ大好きです。特に最近充実している店内で揚げる揚げ物類にはかなりお世話になっております。近くに何でもある、この徒歩10分以内で生活出来ちゃう、小さい生活圏での生活は私の理想郷で、私はこの理想郷をTOHO10と表現していました。実は、購入の際に不動産屋さんが、そんな事を言っていました。それの真似なんですが・・・
私は、知人に家の話をする時に、一番気に入っているのは。TOHO10だと言うぐらいこの環境が気に入ってました。
しかし、今年に入って何やら不穏な空気が・・・車で10分の所に大型ショッピングモールが出来ました。高速の出口に近く、車で行くには物凄くいい立地です。しかし、TOHO10の私にとっては、関係の無いものだと思っていました。
こういう大型施設が出来ると人の流れは変わるもので、みるみる内に商店街のお店は閉まっていきました。まず、衣料品店、電気屋や雑貨屋、スーパー等、次々閉店していきました。そして、とうとう本屋さんも。。
こうなってくると、もうTOHO10では生活出来なくなってきました。商店街には、100円ショップとタピオカのお店、中華料理屋ぐらいしか残っていません。実際私の近所の方も、車で10分ほどに大型ショッピングモールがあるなら、全部そこで買えるし、安いからそっちに行ってしまうと言っていました。
そして、コンビニも。。。ショッピングモールに車で行く方たちは、駐車場の無い私の家の近くのコンビニではなく駐車場のある、ちょっと先のコンビニによく行くようになりました。
マイホーム購入から10年後。私は、CAR10になってしましました。もはや、閑静な駅から閑静なアーケードを通り閑静な住宅街に帰宅し、週末に車でショッピングモールへ行き買い物する生活になりました。
マイホームを購入する皆様へ
「環境は変化するものです。人の流れは日々変わって行きます。近くに何々がある的な売り文句に関しては、一度止まって考えてもいいと思います。」
今、TOHO10の新しい家を探しています。
敬具
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