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「本当に良かった。そのおかげで、すごか発見のあったとですよ」


「何ですか?」


「キレーになってからツガイがイチャイチャし始めたとですけど、ある日女ん方の『オッオッ』っち大きか声の聞こえてきたとですよ。何やろかっち思うて様子ば見に行ったら、しとったとですよ」


「何をですか?」


「交尾ですよ交尾。お姉ちゃん言わせんでよぅ」


「そういうノリは結構です。ゾンビが交尾ですか?」


「そうよ。交尾よ。ビックリやろ? バックで犬のごとしとっとよ。ゾンビも勃つとやねぇ」


「そこまで生々しく言わなくていいですよー」


「ばってん1つ腹の立ったとよ。あのバカどもは、服ば脱げんとね。脱げんもんやけん、陰部のとこだけズボンば破り捨てて突っ込んどると。せっかくキレーか服ば着せてやっとっとに、何ば考えとるとやろか」


「ですから、そこまで生々しい話はいりません。でも、確かにこれまでの常識を覆す発見ですね」


「そうやろ? たぶん野良のゾンビはお互いが臭かとで、そこまでいかんとやろうね」


「それで、ゾンビの赤ちゃん誕生になるわけですね」


「そうそう。生まれたとが先月やけど、2年ほど女ん方の腹がふとかったと。何があったとか分からんやったとけど、先生ば呼んで見てもろたとよ。ほしたら妊娠ばしとっち言うとやもん。ばってんゾンビの妊娠とか聞いたことなかでしょう?牛んごと扱ったら良かとか、人んごと扱ったら良かとか分からんとよねぇ。ばってん見た目は人んごとあっとで『人やろぅ』っちことになって、何かあったら先生ば呼ぶごとしたとです」


「2年前からお腹が大きかったんですか?」


「うぅん、そう。あいつらは栄養が足りとらんけん赤ちゃんの成長も遅かとやろねぇ。そこで疑問がでたとですよ。『そもそも精子や卵子はあるとやろか』っちね」


「はぁ、確かにそうですね」


「そこで、先生に研究所ば紹介してもろて、そこん博士に見てもろたと。ほしたら何ち言うたと思う?『よく分かりません』っち言うとよ。こん国の科学はどがんなっとっとやろかっち思うたよ」


「なるほどぅ」


「その他にも知りたかことはあるとよ? そもそも勃つとか? 濡れるとか? とか、ばってんもう、どがんもできん」


「確かにそれはどうしようも無いですね。これから研究することになるんでしょうね」

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