第27話 さかなの想い出___

⚫さかなの想い出___






きらきらした実話です。




⚫昼の屋台のring


タワシが育つた町にあった。

昼のお祭りめいた屋台で一緒に遊んだ。ひとつ年上の男の子。

その頃の缶ジュースはプルタグが今より大きかったし、タワシの小指も細かったから、ソレを「結婚指輪」としようと、二人でクスクス笑いながら遊んだ。


内弁慶の人見知りで、学校では世間話ができず、近所の人や、家族の中でも、ひとつ上の姉としか、お喋りが出来ないタワシ。が、1回きりのデートしか関係の無い男の子と手をつないだり、元気にお喋りしたり、と特別な想い出である。




⚫夜店の金魚達


父は刑事を引退した警官だったから、仲間内で遊ぶ事を大切にするタイプなので、夏祭りは夜店によくつれってくれた。


ひよこと金魚がタワシの狙いだった。


ただ、にわとりを飼える環境に無かったので、ひよこはチャレンジすら許されなかった。


問題は金魚すくいで・・・


いつも紙のすくいも、最中のすくいも、どちらも一匹目で「びりびり」にしてしまう。




⚫父のすくった金魚


父の金魚すくいは一度だけ成功した。和金が袋の中を、狭げに泳ぐ姿を、子供なタワシは「狭くて、ぐらぐら揺れて可哀想」と想うどころか、得意気にふるまって居た。


その金魚が十年以上も水槽で体長を伸ばすのは、別の話として・・・


そんな父との想い出に、1回だけ、父の後輩のお巡りさん達と、玉川峡で遊んだりとかした。


父はそういうタイプだった。




⚫川で遊ぶ子供達


毎年タワシの家族は玉川峡で遊んだ。


飯盒炊飯でカレーライスを食べたり、深い所で潜水したり、うぐいを釣ったり、川の生き物を網ですくったり。


スイカ割りや飛び込みは、幼い頃に、お巡りさん達とやった、アレっきりだけど、スイカは父の実家の井戸水で冷やしたのを切ってもらい、かぶりついた。




⚫渓流釣りな家族


玉川峡で泳ぐのに飽きたら、うぐい釣りだ。


ミミズに釣り針の洗礼を与え、適当な水の流れに「ぽちゃん」と放り込む。釣り上げる時のテンションが、面白かった。


職場の上司達に鮎の友釣りに、連れられるまで、そんな素朴な川釣りを楽しんでいた。


釣られたうぐいは、煮干し並み(メダカ並なのは網ですくった)や大きくお腹の赤いヤツまでだ。


「無益な殺生はするな」と、母によく怒られた。


父と私は飼いたかっただけ。

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