第19話  ビジネスホテル

目が覚めた。眠る前のお薬を飲み忘れた。と、まで考えて今の異変な状況に気づく。なんだ?横に男性(誰?)の背中がある。此処は何処だ?微睡んでいた私は一気に不安になってしまった。落ちついて落ちついて、私が居るのは個室のベットと思われる。その大半を占拠して、誰な男性が横向きに私に背中を見せて寝ている。うんうんと何か寝言を言っている。本当に誰?と思っていたら、昨日の記憶が少しずつ蘇ってきた。※※※※だ。※※※※で祝杯をあげようと勤しんだのだ。それからどーした?

確かにカウンター席しか無くって、階段の下の座席に座って待っていた。それで、冷房が寒かったから2階のトイレに行った。それからどーした?

何か忘れてるが、嗚呼ああッ。こないだの男性にトイレを利用しているのを見つけられ、少し話した様な気がする。

たしか「のりお」さんだ。苛めにあっていた私と仲良くしてくれた技術畑の課長と同じ名前だから、こんな頭でも覚えている。彼が連絡先を携帯に登録するまで見張っていた。そして一緒に会食しないか?という提案にノーをつき告げ階段の下の椅子に戻った。

しばらくして、彼「のりお」さんが階段を降りてきて、此方に会釈して会計をすませると出ていった。その後彼の温もりのある座席に案内されて、ソファで体を温めていた。貴重品を持って、「エロい」金魚達を見てはしゃいでいたら、まだ済ませてなかったオーダーを頼まれて、ドリンクのメニューとにらめっこする。黒すぐりを探していたら「カシスオレンジ」を見つけオーダーを終えると金魚達の水槽に戻った。そして感じる違和感。

そうだ。金魚達の数が少なくなってる。そう私は思って※※※※の従業員さん達に聞いてみるも、企業機密だからと返答をもらえず、そこで、金魚達を「エロい」と楽しそうに一緒に眺めていた「のりお」さんに(184いやよ)電話して聞いてみようと思い、席に戻った。そして運ばれたカシスオレンジに口をつけて、フルーティーさを堪能していたと想う。

それからどーした?


わからない。なーんも覚えていない。

ひとつのベットで男性とひとつになって眠っている。で、これは誰?

と悩んでいたら課長じゃない方の「のりお」さんではと衣服から気がつき、背中を見せている寝顔を見ようと思った。


壁側を向いているのを、コチラに向けさせた。私とごろんと向き合ったは、やはり「のりお」さんに見えたし思えた。


でも、なんで「のりお」さんと同衾しているの?と私は思った。家族は単身赴任しているので他県だ。だからタクシー代を気にした※※※※の従業員が(多分)派手に酔い潰れている私を誰に任せればいいか考えて「のりお」さんのメモに、気がついたとか?一番あり得るパターンだけども、どーして、警察か病院に搬送されなかったのだろう。お店のメンツ?つぶれるわけないじゃん。迷惑な泥酔客なんだから。何か胃に入れとけば此処まで派手に撃沈しなかったろーな。そっか、担当した従業員さんがバイトかパートで、泥酔客の対応マニュアルが、頭に、なかっただけなんだ。成る程。それで、迷惑にも呼び出された「のりお」さんが介抱してくれていたのかな?

その時やっと気がついた。あらら、衣服が弛んでいる。まさかね?まさかご賞味後じゃないよね。急に怖くなった私は体をチェックして、何もされてない事を、確かめると、ほーっと肩の力が、抜けてしまった。「犯されてない」私は「のりお」さんが紳士で良かったとほっとした。痴漢には見初められるが、まともな、紳士には抑制する事が難しくない体なんだと変に落ち込みながらも、良かった。助かったと想いでお礼を言いたくなった。

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