第17話 魅惑の黒すぐり
この椅子に染み付いた温もりは、きっと「のりお」さんのモノだろう。間接的にだが、体が接触してる様で、こっぱずかしい。冷えた店内で待たされていた間に冷えた体をソレはあたためてくれた。今日の私は「祝杯をあげに、きたのだ」から体を温めてからオーダーをする事にする。その前にさっきは見過ごした「金魚達」を見に行こうと思って貴重品を身につけ、水槽の中を覗きこんだ。イター
きゅぷきゅぷなうごうご達。相変わらず「エロい」でも、あれなんか変だった。えーっと数が少なくなってる?レンタルだから飼育数、減らしたのかな?もとは鮒から進化して名前が鯉から進化した名前をもつ金魚達。「ひろし」先輩の様な「動物愛護精神」の人でも抗って、※※※※が妥協策にでたのか?それとも金魚の人事異動として3階の水槽に行ったのか?単におなくなりになったのか?不安になってしまった。
良いことを願って女性従業員さんに聞くも「担当外でして」だとか「企業秘密の為に」とか「業務中ですから」とか「すみません」と言われて悶々とした想いが、つのった。せっかく「きゅぷきゅぷうごうご」した姿に会いに来たのだから、堪能せねばと想いながらも、もし俳優の「りょう」がモグラ「あやか」が怪我をした写真を撮影されていたとするならば、「超」心配して、ご飯も喉を通らないかもしれない。元々少食だけど。今私に、起きている現象はまさにそれだ。だから「のりお」さんに連絡とってみようと、思ったのだ。兎に角、対策が先伸ばしになって、少しだけ、落ちついたから、「きゅぷきゅぷうごうご」をエロく観察しようとしたが、従業員さんに「席待ちをしてるお客様もいますので」オーダーくらいは通してほしいと言われてしょげながら席に戻った。ドリンクの注文書を見る。黒すぐりを探す。あった、カシスだ。アルコール度数を表示していないので、バーテンさんがシェイカーを、振りながら作ってくれる本格的に度の濃いヤツなのか?それとも酒屋さんで買ってきてビンから注いだ度の薄いヤツなのか?不安だったので、アルコール度数が高いヤツを保険に想定して「カシスオレンジ」を頼んだ。缶のヤツではバスで帰れるくらい強い私なのだから。オーダーを終えると、貴重品を持って、トイレに行った。空いていた女性用のトイレで、断った会長・社長のトイレを洗う話をついでに思い出した。※※※※のトイレは※※※※の水槽くらい綺麗で輝いている。
トイレ掃除を「あずさ」さんに譲って、正解だなと自分も戒められた。
そしてトイレの金魚の絵に挨拶をして、座席に戻る。しばらくして、グラスが届けられた。三角のカクテルグラスでは、なかったので、安心してチビりチビりとやる。唇から歯茎に、口内にしみわたり、ほんのり熱い火を灯す。舌が甘酸っぱい果汁の味を転がし、幸せなひとときを楽しんだ。やはりアルコールは基本好きだ。会社には飲めない事にして、醜態を晒すことを避けているのだが。珠にヱビスビールで、くぅッというのを味わう事もある。年に何回かのペースだが、それよりは、あんまい味に、とろとろになってしまった。金魚達が「エロい」と言っていた「のりお」さんに「184いやよ」の番号非通知で、電話してみようかとか、不埒な想いが、駆け巡る。要は私としたことが、酔っぱらっているのだ。もう、このまま除湿の利いた部屋で、お布団にくるまりたかった。何時もより酔いが、早いのは「つき出し」も無しに、アルコールに胃をたぶらかさせてしまったからだ。酔いが冷めてから、店を出ようと、思ったから、少し座り込む。木の椅子とソファの対面式だから、当然ソファ側に座ると何だか眠たくなってきた。
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