第二話 諦める?


 おれ、死んだのかな?死んだ記憶は無いけど若返っているし、戻れないだろうから、死んだと同じだよな。

 まぁ1人身だし、弟は居るけど・・・もう何年も音信不通だし、親はすでに他界しているからな。友達といえる奴らも、桜と美和と克己と真一くらいだろう。あぁあいつも居るけど・・まぁいいかぁ


『マスター』


「マルスか?」


『マスター登録が終了いたしました。拠点の制作が終了しました。拠点の把握が終了しました。ディアナの機能把握が終了しました。マルスとディアナの接続が完了いたしました。エミリアの機能把握が終了いたしました。マルスとエミリアの接続が完了いたしました。ディアナとエミリアの接続が完了しました。マルスが古代神殿を把握しました。続いて、マスターヤスシ・オオキとマルスの接続し進化を開始します』


「おっおう」


『接続許可・・・完了。接続・・・完了。マスターヤスシ・オオキの進化を開始・・・進化成功。これにより、マスターヤスシ・オオキは情報生命体に進化しました。続いて、神殿及びディアナ及びエミリアとの接続を行います』


「あっあぁ」


『接続許可・・・接続完了。これにより、マスターヤスシ・オオキは、拠点及び神殿の権能を、いつでも使えるようになりました』


 え?いきなりどうした。情報生命体ってなんだ?


「いきなり過ぎてわからん。情報生命体ってなんだ?」


『神殿で保管されていた古代魔法です。肉体生命体は、肉体の老化及び損傷で生命維持活動が終わります。情報生命体は、神殿に生命情報を保管します。肉体の老化及び損傷による生命維持活動の損耗を防ぐことができます。なお、生命情報は、神殿・マルス・エミリアに保存されるため、同時に3箇所を破壊されない限り、失われる事がありません。次に、マスターヤスシ・オオキの伴侶をお決め下さい』


「伴侶?」


『伴侶は、マスターと同じ情報生命体または、情報生命体への進化が可能な者をお選びください』


「今居ないから保留はできる?」


『可能です。また、進化条件は、マスターの総てを受け入れる事です』


「はぁそんな事調べられないだろう?」


『探索魔法構築・・・成功。エミリアにて、進化条件を満たしている場合にシグナルが出ます』


「へぇまぁその前に、人に会ったりしないと状況が判断できないな。そう言えば、俺のステータス?で種族がハテナハテナハテナになっていたけど、情報生命体とか出るのか?それは一般的な事なのか?もし、違うのなら、隠蔽や偽装とかできると嬉しいのだけどな」


『ステータス改ざん実行・・・成功。マスターヤスシ・オオキの種族を、人族に変更・・・成功』


「マルス。サンキューな。それじゃ、拠点に移動するか?」


『かしこまりました』


 おぉぉぉ火が入る。

 エンジン音はそのままだな。


 ライトが灯る。ワイパーも動く。そのままだな。


 アクセルを踏み込む。エンジンの音が気持ちいい。安心してしまう。


 ナビは使えないだろうな。拠点まではどうやって行けばいい?


「マルス。拠点までのナビは可能か?」


『エミリアが答えます。マルスは、工房に移動しました』


「そうか、エミリア。ナビは可能か?」


『かしこまりました。ナビを開始します。道情報がありません。方角と距離を示します』


「あぁ頼む」


 ナビは、西南西の方角を示している。距離にして約500km。高速なら、6時間と言ったところか?


 道がないかわりに、制限速度などという物も無いだろう。


「エミリア。この世界・・・レールテとか言ったな。主な移動手段は?」


『マルスに接続します・・・成功。情報を検索・・・成功。常時接続モードを推奨します。主な移動手段は、徒歩または馬車』


「接続は許可する。馬車の移動速度って、時速で4kmとか8kmだよな?」


 音声では答えられなかったが、ディスプレイに”了”と表示されたので、常時接続モードになったのだろう。これで、検索がスムーズにできるようになるだろう。


『レールテでは、魔法馬車が存在します。これは、時速10km程度には速度が出ますが、一般的な馬車では、6km程度です』


「そうか、それなら物流とかの仕事ならありそうだな。ディアナを使えばかなりの速さで・・・そうか、トレーラが無いのか・・・」


『トレーラでしたら、拠点にご用意できます』


「なに!?」


『マスターとマルスが接続した事により、マスターの記憶を参照いたしまして、トレーラの再現に成功しました。拠点にて、制作が可能です。他に、物資の補充も可能です』


「それって、俺以外でも運転・・・操作できるのか?」


『できません』


「なんとかできないのか?」


『マスターへの隷属・・・奴隷契約を行う事で可能です』


「もう少しゆるい契約・・・そうだな。従業員契約とかではダメなのか?」


『従業員契約を検索・・・失敗。契約情報を参照・・・成功。従業員契約を構築・・・一部成功。条件付きで行えます。従業員契約には、魔力の登録が必要です。魔力パターンにて、運転が可能です。ただし、運転技術の確認ができないために必ず運転できる保証はありません。また、従業員契約では神殿への入場はできません。マスターの記憶にある駐車場や従業員宿舎への入場だけの権限です』


「うーん。丁度いいかも知れないな。駐車場や従業員宿舎は作れるのか?拠点や神殿に入れるのは、俺だけなのか?」


『駐車場と従業員宿舎を検索・・・成功。制作権限取得・・・成功。場所の確保・・・失敗。マスター、駐車場と従業員宿舎の広さや規模はどういたしますか?』


「駐車場は、拠点の近くに確保で、できるだけ広く。そこに、従業員宿舎を、俺の記憶にある”従業員宿舎”で作成できるか?」


『できるだけ広く確保するとしたら縦横10kmほどの広さまでいけます』


「そんなにいらないな。でも土地は確保しておいて、まず駐車場は縦横2kmくらいで、従業員宿舎は、大丈夫か?」


『土地確保・・・成功。駐車場作成開始・・・作成開始成功。終了まで、3日かかります。従業員宿舎は、3階建てで20家族が住めるくらいでよろしいですか?全部屋に風呂とトイレを完備。キッチンも作成。1階には社員食堂を作成。隣接して、娯楽施設を作成。で、よろしいですか?』


「この世界の標準がわからないからな・・・従業員宿舎は一旦保留」


『従業員宿舎保留申請・・・成功。一旦保留します。土地の確保のみ行います』


『続けまして、拠点と神殿への入場規制に関してですが、マスターとマスターの伴侶。あとは、永続奴隷契約を結んだ者です』


「永続奴隷契約?」


『通常の奴隷契約では、従業員契約とほぼ同じです。拠点への入場はできますが、神殿・・・マスターの居住区への入場はできません。永続奴隷契約は、解放される事がない、マスターに従う奴隷です』


「犯罪奴隷とは違うのか?」


『犯罪奴隷を検索・・・成功。犯罪奴隷ではありません。犯罪奴隷は、賃金を必要としませんが、永続奴隷は、マスターとの間で取り決める報酬が必要です』


「報酬を払えば、犯罪奴隷も永続奴隷扱いになるのか?」


『なりません。犯罪奴隷は、国が定める物です。永続奴隷は、奴隷本人の申請が必要です』


 なにか抜け道がありそうだけど、まぁいいか。


 よし!

 異世界での初ドライブに出発するか!


 どっかのHONDA狂が改造魔改造して操作が通常のトラックではなくなってしまった。


 ステアリングに付いているクラッチボタンを押しながら、パドルでセミオートマのギアを繋ぐ。スタート時だけの操作だが、文句をいいながら結構気に入っている。うまくつながらなくても、エンストするわけでもなく、少しホイルスピンするくらいだ。


 地面の状態がわからないから少し回転数を抑えめにすればいいだろう。


 降りて確かめようと思っても、ゴブリンが周りを囲むようにしている。多分、降りたら襲われて殺されるだけだ。


 ヘッドライトを付ける。もちろん、ハイビームだ!


 正面に居たゴブリンどもが慌てて逃げる。

 なにかの攻撃とでも思ったのだろう。


 クラッチミートはうまくできた。ホイルスピンも無いようだ。

 ゴブリンたちが逃げた場所にディアナを走らせる。


 俺とディアナは、ゴブリンの群から無事脱出した。


 異世界のドライブと洒落込もう!

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