桜の散る頃に

右京シンゲン

プロローグ

ちょうど桜の散る季節、僕は彼女と再会した。




今日は高校の入学式。


俺は新入生としてこの式に出席している。


新入生の挨拶のために前に出た1人の女子生徒から、俺は驚きで視線が固まった目が離せなかった。


彼女の名前は橘六花。


成績優秀容姿端麗運動神経抜群の絵に描いたような完璧な生徒だった。


その場にいた誰もが彼女に目を奪われていた。


それほどまでに彼女は美しかった。


かく言う俺も例外ではなかったのだが、俺が彼女に見入ってしまったのには他に理由があった。


おっと、自己紹介が遅れたが俺の名前は一色誠也。


この物語の主人公だ。


さて、話を戻すが俺が立花を見たのは初めてではなかった。


俺には、同じクラスで彼女と生活していた時期が、彼女に恋をしていた時期があった。


それは俺の初恋であり、彼女が苦しんでいるのを我が身のかわいさ故に傍観していた醜く忌々しい思い出だった。

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