閉幕
遠く、鳥籠に入っていたモリーたちの歌声は聴こえない。摘発を免れるために、マダムはこの駒鳥亭を閉めたのだ。風紀改善協会の取り調べが厳しくなっている中、多くのモリーハウスが摘発され、仲間であるモリーたちが連れていかれた。
その摘発の嵐が過ぎるまで、エドワードはマダムと一緒にロンドンを離れるはずだった。
けれど、エドワードは駒鳥亭に一人でいた。蒼いドレスに身を包み、エドワルダとなってここに乗り込んでくる警史と風紀改善協会のメンバーを待ち受けていた。
それが、エドワルダとなった彼女に課せられたけじめだったからだ。
そっとロビンのことを思い出す。泥雲雀たちの手を借りて、深いテムズ川の底へと沈んでいったロビンの体を。
そっとエドワルダは手に持っていた頭蓋骨を掲げてみせる。
ゆらゆらと空になった鳥籠がゆれるホールの中、一人のモリーは愛しかった人の頭蓋骨にそっと口づけを落とすのだった。
(了)
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