I
「そんなこと、知らない。私が何でも知ってると思わないで」
彼女は、彼女だ。
「すまなかった。詫びよう」
俺は、俺だ。
「いいわ。でも、あなたの持ってるもの、物騒だわ」
「俺が、何か持っているか?」
「とっても危険なものを持っているわ。平和って何かしら」
「わからないな。俺の両手はない」
「あるじゃないの。立派で危険な――」
「俺の両手はない!!」
「――」
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