【4】美男は癒されて楽しむもの
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「トップが七十八センチ」
カットソーの上から採寸を終え、落ち込んでいる私の目前で香坂は溜め息を吐きながら言い放った。
「捺希、明日メーカーに水着のサイズ交換頼んでくれるか?」
「蓮さん、了解です」
「ワンピースはどうしようかな。身長は同じくらいだから、スカート丈はこのままでいいけど、バストはパットでボリューム出して誤魔化すか」
パットでボリュームって、重ね重ね失礼しちゃうな。
「体のラインが不自然にならないか」
鳴海店長の声に、心臓がドキンと跳ねた。
「今はブラ自体にボリュームを持たせた商品もあるけど、水着姿とのバランスもある。審査は二回。あまりにも盛るのはどうかな」
四人は私の胸をいかに大きく見せるかで揉めている。
煩い、煩い、貧乳のどこがいけないの?
小さな胸だって、女性としての機能は十分備わっている。この胸が可愛いと言ってくれた人だって、過去に一人いたんだからね。
「自然のままでいいんじゃない。ヘアメイクをアレンジして、類を二倍楽しむ」
安い商品の宣伝文句みたいに、二倍楽しむだなんて。
「そうだな。類、ワンピース着てみろ」
「今ですか?」
「そうだ」
「ここでですか?」
「そうだ。ファッションショー当日は、舞台裏で早着替えなんだ。どうせ丸出しなんだよ。恥ずかしがるな」
「ま、丸出し!?」
「蓮さん、類が怯えてるよ。丸出しじゃなくて、丸見え。下着姿は見えちゃうけど、水着だと思えば大丈夫だよ。どうしても抵抗あるなら、ワンピースの下に水着つけちゃうとか」
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