第1話 VS子どもの声

 俺は成瀬なるせ 和馬かずま、現在これから青春を謳歌できると信じている高校一年生である。


「はぁ、宿題多すぎんだろ。

 特に数学……!!」


 え、何これあと二十ページ?は?意味わからん。


 ……ナンカアタマイタイナー。


 よし、寝よう。

 あっ間違えた、寝るんじゃなくて布団のおりだった!!


 そう、これは寝る訳じゃないんだ……。


 宿題とか……夏休みあと一ヶ月もあるし……なんとか……なるだろ…………。




 そのまま、俺は深い深い眠りについた。


 ■


 目が覚めると、そこは壁も床も家具も真っ黒と趣味の悪いインテリアの部屋だった。


「……は?ここどこだ?」


「起きたよ。」

「起きたよ。」


 どこかから子どもの声が聞こえる。


「「「「「起きた起きた起きた起きた起きた起きた起きた起きた起きた起きた起きた起きた!!!!!!」」」」」


 子どもの、いや、幾重いくえにも重なった子どもたちの声が響く。

 それは酷く、酷く__________。


「うるせぇ!!!!!!

 お前らはセミか!!!!!!!!!」


 うるさかった。

 いやマジで。


 高校生だからって気が長いわけじゃないんだ。

 怒鳴ってしまったのは許してくれ。

 ごめんね。


 俺の声で黙ったらしく、子どもたちの声はもう聞こえない。


 ……別に、普通に話すのはいいんだぞ……?


 そんな先生に怒られた直後の生徒たちみたいな風にならなくても……。


 ……いや怒鳴った俺が悪かったわ。ごめん。

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