ともだち

あなたがもし泣いていたら助けに行く

などと嘘をついた

悲しくて泣いたのは僕だった、

僕の冷たさ僕の嘘への自覚に泣けた

あなたは笑ってこう言った、

君は優しい人だ、と

ちっとも僕と寄り添わないそんな言葉をくれた

僕は僕という人間への絶望を感じ

あなたは僕の嘘にちっとも気づきやしないまま

時がいくつ過ぎても助けなど求めて来なかった


ようやく僕はあなたの優しさや重要性や希少な存在価値に気づき


助けに行こうと決めた


僕は人間になってあなたを助けようと決めた

あなたがもしも泣いていたら僕を頼りにするような、そんな血の通った人間になるんだと決めたんだ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る