完璧である必要はない
末っ子の
親としてまだまだ未熟なところのある
ただ同時に、変わらないところもあるというのも見せることができているのもあった。
それは子供達に、
『完璧である必要はない』
ということを伝える役にも立っている。
親が完璧じゃないのだから、子供達も自分が完璧にできないということで必要以上に悩むこともない。
ましてや、悠里と安和にとっては自分が<ダンピール>であり人間とは違うということで人間と同じようにできない事実が精神的な重荷になるのを防いでくれてもいた。
だからこうして笑顔でいられる。
そして椿に連れられた蒼井霧雨がダイニングで席に着くと、家族五人での夕食が始まった。
「いただきます!」
皆で挨拶をして、カレーを食べる。
「ん、美味しい♡」
ミハエルと子供達が作ったシーフードカレーに自然と笑顔になってしまう。
「毎日こんな美味しい料理食べられて、私はホントに幸せ者だよ~♡」
言いながら蒼井霧雨は目が潤んでいた。
するとミハエルも、
「僕もアオと一緒に暮らせて幸せだよ♡」
穏やかに微笑みながら返した。
「はいはい、熱い熱い」
「子供が見てたってお構いなしだもんね~」
遠慮のない父親と母親のやり取りに、悠里も安和も呆れたように肩をすくめる。
けれど椿は嬉しそうにニコニコと笑顔だった。両親の仲が良いことが、椿にとっては自慢でもある。
もっとも、それは悠里と安和も同じだけれど。両親の仲が良いことがはっきりと分かるからこそ安心して冷やかせるというのもある。
もしそれが微妙だったら、こんな軽口は叩けなかっただろう。
ただ、もう精神的には思春期頃のそれなので、どうしても照れがあって、ついからかうような言い方になってしまう。
だけどミハエルも、蒼井霧雨、いや、<アオ>も、悠里と安和が照れくさくてそんなことを言ってしまうというのも分かっている。
父親は吸血鬼。上の子供二人はダンピールという特殊な家庭でも、こうして楽しく毎日を過ごすことができている。
<普通>じゃないことは、この家族にとっては足枷でもリスクでもなかった。
「どうせどんな風に生まれつけるかは、本人の努力とかじゃどうしようもできないことだからね。だったら自分が生まれついた状況や環境に関係なく幸せになってしまえばいい」
と考えていたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます