ドア トゥ エニウェア
@logex10
8月31日 16:35
やってしまった。頭をかかえて言うもんだから、一体何事かと不安になった。
来てくれ、と言うのでとりあえず付いていく。
「見てくれ。これを。」
「はあ?」
部屋には何もなかった。
「これだ。これを見てくれ。」と言って壁に貼られた模造紙を指した。
「俺は今お前を殴りたい。」
「ここにドアが描かれているだろう。黒いマジックの線のがそうだ。長方形と小さな丸で構成された簡単なものだが、これは実際にドアの機能を持っている。」
腹が立ったので近くにあった目覚まし時計の電池を引っこ抜いて投げつけた。
電池が耳にあたったようで、痛そうにさすって、「じゃあ、」と模造紙に描かれた黒丸のふちを人差し指と親指でつまんだ。はは、冗談だろ。手前に引くとあり得ない風圧が生じて転倒し、部屋の中を転がりまわり体中を打撲した。
「あああああ!!!!!」
「こういうことなんだ。」
ドアを閉めると地獄はおさまった。
「ああ!もう!」
「なあ、どうしたらいいかな。」
「うるさい!バッテンでもかいとけ!」
言う通りに、新たにバッテンを描き加えると、先ほどのように黒丸をつまんでも開かなくなった。
「風呂貸してくれ。」
「あ、じゃあ今から沸かすよ。」
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