ジョン・レノン対火星人/高橋源一郎
初期三部作の中で、最初に執筆された作品。他二作と比べると、比較的物語としての形を留めているからまだ読みやすい。全共闘時代が下敷きになっていることが判ればメタファも解りやすく、特に冒頭部分などは「おいおい、高橋源一郎なのにそんな安直な比喩で大丈夫か?」と心配になるレベル。解りやすいだけに、行間ににじむ「これを書かねばならぬ」という切実な思いが読み取れ息苦しくなる。ナンセンスはいつもの事だが、けっこうなエログロで紡がれる言葉の波からは、理不尽に対する憤りとともに感傷的な感情が感じられて、これまた息苦しくなる。
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