ディスコ探偵水曜日〈下〉/舞城王太郎
読了して感じたのは、この物語がそのまま舞城文学論ではないかという事。時空の壁が文学の限界であり、壁の向こうに新世界を拓いたように、限界を超えて新しい文学を拓くのだと。そこへ至るには、名探偵の浪費やSF・メタによる謎解きの様な「既存形式の解体&再構築」が必要なのだと。今回も荒唐無稽な虚構の中に、手垢のついた主題がそのままの形で転がっていた。「暗闇~」には「ある種の真実は嘘でしか語れない」という独白があるが、この手の主題を語るにはやはり虚構しかないと納得する。「物語にはまだ、力がある」と、実践してみせた傑作。
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