山ん中の獅見朋成雄/舞城王太郎

舞城が描く異郷訪問譚。「千と千尋~」との類似が指摘されるが、遡れば宮沢賢治作品や、柳田国男が言う「マヨイガ」「山人」まで辿り着く。更に言えば浦島太郎とか。モチーフの取り方を見ると「不思議の国のアリス」も混入か。基本構造は、行きて帰りし物語。帰ってくると少し成長しているという定石は外さないが、特有の疾走感で描いている。自己同一性がテーマだが、旧来の文学ならウジウジと思い悩む所を一気に駆け抜けてしまう。舞城だからそれが良いんだけど、最初から同一性が確立している感や、問題を置いてけぼりにしてる感があり消化不良。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る