考えること

いつから考えることをやめていたのだろう。


他者から提供される情報に飲み込まれ。

わたしの中の真実を探求することなく、

他者の意見を自分の意見に錯覚し、

扇動されるまま、声高に叫ぶ。

流行の服のように、違う波が来れば、

いとも簡単に捨て去り、新しい服を身にまとう。

自分のものでない違和感に薄々気付きながらも、

わたしは間違っていないと言い聞かせ。

満たされないまま、焦燥が増し、

心は静かに壊れていく。


心は静かに壊れていくよ。


だから、思ったの。

わたしに合った素敵な服を考えようって。

押し寄せてくる波の真実を見極め、

綺麗な波にインスピレーションを受け、

作り出すのは、わたしだけの特別な服。



インターネットで繋がる世界。

昔よりも真実に近くなったはずなのに、

それは砂の中に埋もれた宝石のようで。

わたしたちは自由を望んでいたのに、

これがあなたにぴったりですよと、

狭い世界に誘われる。


埋もれた宝石を見分けるために、

わたし自身も磨かなきゃ。

色んな窓から世界を見て、

鑑定スキルをレベルアップ。

だってわたしが欲しいのは、

わたしの心を導いてくれる、美しい宝石。

曇った眼で探していては永遠に、見つからない。



情緒豊かな言葉は、やがて過去の遺物となれ果て、

誰にでも分かる簡易な文章へと平準化し、

思考もやがて定型化されていくのかもしれない。

それは進化かもしれないし退化かもしれない。


記号と数字とアルファベットのプログラムで

情報伝達は速度を増し、わたしたちの命を救う。

情緒豊かな言葉たちの詩は、

優しさとなって届き、わたしの心を救ってくれる。



考えることをあきらめないで、

きゅっきゅっきゅっとわたし磨き。


いつか素敵な服を着て、

美しい宝石で飾り、

好きな詩を読みながら、

静かな時を過ごす。

そんなふうに過ごせたら最高だね!





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