ルビを振って必殺技を叫ぶだけ
ドゥギー
ルビを振って必殺技を叫ぶだけ
瀑布昇竜撃!
断水斬!
俺は滝に向かってひたすら木刀を振る。しかし、水は爆音と共に落ちるのみ。俺の技はまだあの人の域に達していない。一人の老人が俺に近づく。
「修行に励んでいるか?」
「はい。しかし、どうしても滝が切れません。どうしたら、師匠のように滝が切れるのですか?」
木刀で滝を切る修行を始めて早2年。成果が出ず、俺は焦っていた。師匠は俺の木刀を取り上げる。
「長い修行の末にできるのじゃ。このように。フン!」
師匠が木刀を水平に振ると、水が斬撃より下に落ちなくなった。
「まだまだ、修行が足りんの。はっ!」
師匠の掛け声とともに滝は元の姿を取り戻す。
「無心になるまで振るのじゃ。その時真理が見える。叫びながら振っていても何も起こらんぞ。なぜ、お前は変な名前を叫びながら剣を振るうのだ?」
「その方が力が入るので……」
「無駄な力が入っておる。黙って滝に打ち込め」
師匠は木刀を俺に手渡す。俺は黙って滝に向かって木刀を振っていく。師匠はその場を去っていった。
ダメだ、しっくり来ない。叫びたい、必殺技を叫びたい。俺はもう我慢できなかった。
真空魔波剣!
俺の渾身の必殺技は全く滝に通じなかった。なぜだ、なぜ俺の必殺技は通用しないのだ! 俺はやるせない思いを声に乗せた。
「チクショー! ウォーター!!!!」
滝がわずかに揺れた。まさか! 俺は一筋の光が見えた。これならいけるかもしれない。俺は木刀を強く握り、滝に向かって下から木刀を振り上げた。
BAKOOOOOOON!
滝が縦に真っ二つに割れている。
「必殺技完成だ!」
俺は喜びのあまり飛び跳ねた。
伝説の戦士、ドゥギー誕生の瞬間である。ドゥギーが発見した「ルビ振り必殺技スキル」は広く世界に浸透し、ルビが振られたさまざまな必殺技が考案されていくのであった。
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