暴風のアークウィザード さくらんの必殺技

「ファイアボルト!」


 火の玉が悪魔にぶつかる。火花が飛び散るが、悪魔は無傷だ。火の玉を放った少年は唇を噛みしめる。


「くっ。全く効かないなんて」


 悪魔は6本の腕で腕組みをして、高笑いした。


「カーカカカカカ! 人間どもが無駄なあがきを」


 少年は眉をひそめる。


「何か手はないか……」


 何者かが少年の肩を叩く。少年が振り向くと、テンガロンハットを被った少女が佇んでいた。


「さくらん」

「ソウマ、こういう時こそ緑茶族最高のアークウィザードである私の爆風魔法で!」


 ソウマは急いで手を振る。


「いやいやいや、さくらん様、遠慮します!」

「何を言ってるのですか? あの悪魔を倒すのは私の最強魔法しか手はないのでは?」

「でも、遠慮します!」


 ソウマはこめかみから変な汗が流れている。


「カカカカカ。人間ども、やれるもんならやってみな」


 悪魔は挑発する。


「ふははは! ではくらいなさい、我が爆風魔法を!」


 さくらんは杖を振りかざした。ソウマは柱に向かった。


「北の凍てつく風神よ、南の熱き雷神よ。我が魔方陣に集い、その力を競わせろ!」


 さくらんの足元に浮かんだ魔方陣が光る。


 爆風陣!エクストリーム・タイフォン


 さくらんの周囲に強烈な風が吹き荒れた。


 バッフォーン!


 次の瞬間、さくらんの周囲に悪魔もソウマの姿も見えなかった。






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