第27話 祭神さま!誤解です
オタク神主が痛恨の入力ミスを犯した。
ソワソワとシワシワを間違えた。予測変換でミスっただけなのだが相手が悪かった。
厳島神社の祭神である
お供えにソワソワする祭神たちが可愛いと書いたつもりだったのに。シワシワな祭神様と書いたと誤解されてしまった。
「はあ、誤解なのに…」
「オタク君、元気出して!」
「ありがとう、鳥居ちゃん」
慰める鳥居ちゃんのお耳もペタンとしてしまった。
「どうして、
「信者さんに旬の巨峰を頂いてね、いつも通りお供えしたんだ。祭神様たちはフルーツがお好みだから、とてもお喜びで…。
お供えを待ちきれずソワソワされてとても可愛らしかったんだ。
その事を日誌に書いたんだけど、間違った予測変換をそのまま確定させてしまって……」
神社の事務も電子化が進んでいた。手書きならば、防げた悲劇だった。
「『信者さんからいただいた巨峰をお供えしたところ、殊の外喜ばれシワシワだった。』で提出してしまって…。僕の入力ミスだし、確認も甘かったんだ」
「姫さまたちがシワシワなわけないから!
誤解だってすぐに分かってもらえるよ!」
鳥居ちゃんはポジティブだ。
「それがな…、僕らが本当は姫さまたちをお年寄りだと思っているに違いないって怒り出して…」
「メガネ先輩…」
「姫さまたちはお年寄りじゃなくて永遠の姫なんだけどなあ」
「角刈り先輩…」
「僕の実家も神社でね、僕は姫さまに憧れて神主を目指したんだ。姫さまたちは僕らのマドンナなんだよ。嫌われるのは辛いなあ」
「オタク君…」
「ええい!いつまでもウジウジと!」
「そのように憧れているとストレートに訴えて参れ!」
「言葉にせねば伝わらぬぞ!」
バッチリ聞いていたらしいし、嬉しそうだが、“表現力が足りない”とか“もっとパッションを!”とか言い出したり、祭神様たちの素敵なところを説明させられたので、お神酒を飲ませて酔わせて潰して誤魔化した。
いつの間にか大人になってしまったオタク君たちは、『姫さまたちの、こんなところも可愛らしいな』と思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます