第2話 実家なので遠慮がないミカエル君
「観光客の皆さんのおかげで成り立っているとこもあるし、ありがたいんだけど…あっちの方は人が多すぎて落ち着かないから」
こっちだよと鳥居ちゃんの手を引いて、どんどん厳かな方へ入って行く。
「ミカエル君は修道院の人たちに見つからないように姿を消してしていたんでしょう?」
「うん。見えちゃいけないと思ってたんだ。宮島で鳥居ちゃん達が堂々と人間と交流していて最初は驚いたよ。それに僧侶の皆さんと神主さん同士、宗教が違うのに仲良いし…。タブーとかなくて何でも食べるし」
「宗教戦争、大変だったのね…」
「うん、僕は力もないし見てるだけしかできなかったから」
ミカエル君の顔が悲しそうに歪む。
ぎゅ!
鳥居ちゃんが励ますようにミカエル君の手を握った。
「ありがとう、鳥居ちゃん」
手を繋いで歩く2人をギョッとした顔で見送る修道僧達。
「俺の目がおかしいのか?」
「俺にも見えてる…」
「男の子の方はpetit(プチ)ミカエル様だろう?もう1人は…?」
「何か生えてるな…頭のは耳か?あと尻尾?」
「やっぱり!?」
「俺の妄想かと思った…。みんなにも見えてて良かった…」
鳥居ちゃんとミカエル君が修道僧達の心を乱していた。
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