Last phase-4
夜の帳が降り始めた頃、私、鬼道佐久弥は行動を開始した。
時刻は18時30分。
一般の事務員などは定時で帰り始める人もいる傍ら、いまだ仕事をしている人もいる防衛省庁の換気ダクトを通り、内部へ侵入する。
内部構造は監視カメラの映像を、私の『眼』を使って解析し、そこに映る案内板と照らし合わせた結果、おそらく岩國がいるであろう場所も発見した。
防衛相執務室。
ここにいる可能性が、極めて高い。
朝にこの施設に入ったところまでは、監視カメラ越しに発見し、それ以降この建物を出た気配もない。
この時に、どれほどその男を切り捨ててやろうかと思って、愛刀を握る手に力が籠ったかはわからない。
この一週間の観察の結果が、今のこの侵入経路だ。
ここなら、外部と内部、両方の監視カメラに発見されることなく侵入できるだろうと考えたから。
発見されても遠目の端に映る程度だから、気にされることはないだろう。
そして、換気ダクトを辿り、狭い通路を進んでいく。
ふと、何かの通路が下に見える。
足を止めて確認すると、何だか慌ただしい様子の職員達の姿が目に映った。
まさか、バレたか?
思わず警戒する。
「おい、早く逃げるぞ! もうすぐここは戦場だ!」
「避難経路を確認しろ! 警察に通報は!?」
「今SATがこっちに向かってる! 到着するまでに俺達は避難だ!」
そんな悲痛な叫び声が轟く。
なんだ? 避難? SAT?
一体全体、何が起こるんだ?
まあ、いい。
こっちとしては好都合だ。
この騒動に乗じて、岩國を仕留める。
父親の仇、撃たせてもらう。
そして、暗い通路を再び進んでいく。
目的地は、まだ遠そうだ。
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