5th phase-7
あれから、私は7日間ずっと違法風俗店を見張っていた。
所長と『たっぷりと物理を交えたお話』した後、風間さんと、主に私が一方的に話した。その結果、今回は餌となる古川を見張り、ヒーローの出現を待つ作戦を実行することとなったのだ。
私は学校に支障が出ない程度に見張り、時間になったら風間さんと交代するという交代制で見張りを行っていた。
明らかに法律違反な時間に営業しているこの店をずっと張り込んでいるのは、なかなか辛い。
基本的に動きがなく、いっそのこと営業終了時間間近に追跡する方法ではダメだったのか、とさえ考えてしまう。
また、今回は店内を『眼』で監視する方法は、何故か周りから全力で止められた。
私だって、その程度の知識はある。すでに義務教育は終わっているのだ。そこまで子供ではない。
にもかかわらず、特に所長は、
「サクたんの教育に悪いから、絶対にダメ!」
と頑として譲らなかった。
解せない。
さて、そう考えているうちに、古川が店から出てきた。
「……にししし!」
気味悪い笑顔をしながら、街を歩く。
私も彼の跡を追うために腰を上げた。
物音を立てないように歩き、男とは大きく間隔を開けて追跡する。
まるで探偵ドラマのようだが、周囲に警戒はする。
次第に古川は人通りの少ない道へと進んでいく。
これまで通りの、この男の帰路だ。
このまま進んでいけば、この男の家へたどり着く。
その時だった。
「待てい!」
大きな声が街路に響く。
外灯に照らされた声の主は、マントをはためかせて不遜に佇んでいた。
赤いヒーロースーツに、同色の仮面。
そして、月夜にはためく白いマント。
間違いない。ヒーロー事件の犯人だ。
「……」
いつでも刀を抜けるように、私は刀の鯉口を切る。
そして、ポケットからインカムを取り出し、瀬見さんに繋ぐ。
「瀬見さん、例の奴、来ました」
『りょ! 風間っちにそっち行くように伝えるね』
手短に連絡すると、通信を切った。
「……な、なんだよおまえ!?」
古川からあからさまな動揺の声が響く。
不意を突かれて驚いているのか、それとも件の事件の犯人が目の前に登場して焦っているのか。
まあ、どちらにせよ、私にとってはどうでもいいのだけれど。
「違法な風俗店で金を貪る悪党め! ここで成敗してくれる!」
向上を述べて、ヒーロー姿の男は古川目掛けて突っ込んでいった。
ここだ。
「……!」
刀を引き抜き、上段に切りかかる。
完全な不意打ち。
速度に重点を置いて、切り捨てる。
それだけに、集中する。
「……!」
ヒーローも気づいたらしいが、もう遅い。
そして、刀を振り下ろした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます