第29話【もうすぐ地獄の修学旅行】


 昨日はちょっとびっくりしたな。

 まさか彼女が泣いてしまうとは......。


 あの後、彼女は俺の前には姿を現さなかった。

とりあえず昨晩、一応.......泣かせてしまったこともあり謝罪のlineも入れたが音沙汰もない。

 別に悪いことを言ったつもりはなかったが、少し言葉が悪かったか......。

 彼女も別に悪いことはしていないのだからな......。


 気がかりではあるが.......ただ正直、今日はそれどころではない。

 ため息しかでない。

ほんとに......学校に行きたくない。


 とうとう、俺にとって高校生活最大の山場がもうすぐやってくる。

 ぼっちにとって史上最悪なイベント、修学旅行がやってくるのだ....。


 今日はその為のホームルームの時間がある。

 最悪だ.......。

 2泊3日の北海道旅行。

 俺は生きて帰ってこれるのだろうか.......。 



 _____________「間宮と同じ班とか最悪だぜ、せっかくの修学旅行が萎えるわ。」

「まじで、貧乏くじ引いたぜ。」


 いや、俺は今日のホームルームですでに死んでしまうしまうかもしれない。

 着実に俺のHPが今ここで減っていっている。


 こうなることは朝からの予想どおりだ。

 ただ.......予想はしていたが、いざ自分の耳に同じ班になった奴らからの陰口が聞こえてくると、身体から力が抜けてしまう。


もう、ふらふらの瀕死状態だ。

 た、立てない.......。


「とりあえず男女3人ずつの班をつくってくれ。基本的に修学旅行中はその班で行動してもらう」

 先生の言葉によって、今この状況が生み出されている。


 いや、正確に言えばその後の榊の行動によって、今この状況が生み出されている。


「先生、ならば公平にくじ引きが良いと思います。僕、くじを作ってきました。 」

 榊のこの言葉が元凶だ.....。

 

「やっふぉぉぉぉぉぉぉぉい」

その榊は今、俺の目の前で雄叫びをあげている。


 本当にため息しかでない。


 榊の班の人員には守谷と高砂、山本、アリス、そして榊の取り巻きの一人である笹岡という女がいる。

 このメンバーはどう考えても........榊にとって都合の良すぎるメンバーだ。


 「絶対に仕組んでやがったよあいつ。」

  「許さねぇぞ、やり直しだ」


  周りからもそう言った声が聞こえてくる。

 まぁ、周りというか主に俺の班員からだが......。


 「はぁん?くじ引きは一番公平な手段で~す」


 しかし、そんな声にも物ともせずはしゃぎにはしゃぎまくっている榊。

 そして、その横には何故か死んだ目をして放心状態の山本とアリス......。


 その後も修学旅行の部屋決めやバスの座席決めなど様々なことを決めていくが中々俺のペアは決まらない。


 負けた人が俺と同室になるというルールでじゃんけんが催されたり、他にも俺の心を抉るような取り決めがなされたりで........


 うん。もう、俺は今にも膝から崩れ落ちそうになるくらいに精神的ダメージを負っている。  


しかし、俺もそれなりにぼっち歴が長い。

今日はなんとか数々の精神的ダメージ攻撃をギリギリ耐えきり生き残った.......。


 途中、何故か山本がそんな俺のことをかばってくれたり、アリスが励ましてくれたりしたのもでかかったかもしれない。


((ま、間宮くん。元気だしてください。))

 今もアリスが俺の背中を小さな手で優しくさすってくれているが.....俺は泣いていない。

 ほんとに泣きそうになるから......ありがたいけどやめてくれ。


 俺は2泊3日の修学旅行.......ほんとに耐え抜けるのだろうか。

 まぁ......耐えきるしか選択肢はないのだが。


 はぁ......自業自得ではるが、ほんとに色々と憂鬱だ。



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いつも読んでいただきありがとうございます。

時間があれば、「彼女いない歴=年齢の小早川くん28歳は、若くして恋に枯れ果てている(改定版)」という作品も読んでいただければ幸いです。

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