6.なにがうしなわれたのか
おそるおそる、ぼくは目をあけてみた。
眠ってしまっていたのかもしれない。ずいぶん、時間がたったような気がする。
なにも聞こえない。とても、とても静かだ。
ぼくはやわらかい土のうえにしゃがみこんで、背中をまるめたままの姿勢で、ずっとこうしていたみたいだ。
上を見あげれば、高く伸びた、たくさんの植物の茎の間から青い空の色が見える。花……そうだ、ひまわり。ひまわりの花が、咲いているのが見える。
ぼくはゆっくりと立ちあがって、一面に咲くひまわり畑から頭を出してみる。
風が、すうっ、て、ぼくのほほをなぜていった。ひまわりの花をゆらしながら。
ひまわりの花が顔を向けている方向に、ぼくも顔を向けてみようとしたとき、はっと気づいたことがある。
なにかが、なにかが、ない……
なにか大切なものをぼくはうしなってしまったのだと。
………
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