4.だれがよんでいるのか

 ぼくはしゃがみこんで、ひまわりの茎の根元でちいさくなってふるえているしかなかった。たくさんのひまわりの茎が、立ちならぶ柱みたいにずっとどこまでも続いて、迷路のよう。静かで、だれもいない。ただ頭上からかすかな音が。

 

 上にはあんなにあざやかできれいな花が咲いているのに、ここは暗いんだな……そして今、頭上をあのおおきな影が通りすぎていくから……。

 

 でも、土があたたかい。ぼくは茶色くて濃い地面の土をぎゅっ、と、にぎってみた。

 

 もうすぐ。

 

 もうすぐ、通りすぎてしまうさ。それまで待てばいい。待てばいいんだ……

 

 だけど、何か、忘れていないか。

 

 だれかが、叫んでいないか。

 

 だれが……

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