第8話 パーティー結成
朝食を終えた俺達は、さっそく冒険者職業安定所に向かった。俺は受付けから、今募集している仕事の種類を聞く。
俺は一人で行動する事が多い為か、決して危険は冒さない。冒険者と言う生業で、危険と無縁でいられる筈も無いが、極力危険は回避している。
それはつまり、自分の力量を正しく理解し
、分相応の仕事を請け負うと言う事だ。このガキ達は、あまり戦力として計算出来ない。
基本的に俺一人でも完遂出来るような依頼が好ましい。俺は難易度の低い仕事に目を向けた。
······隣り街までの要人警護。目に止まったこの仕事を俺は即決した。出発は今日の昼から。募集人数は六人で、最後の一人に空きがあった。
「イバト、クレア。仕事が決まった。隣り街までの警護だ」
イバトとクレアは冒職安に登録されていないので、当然報酬は貰えない。仕事は三人でするが、報酬は俺一人分だ。
今回の目的は、先ずこのガキ達の実力を実戦で測る。それが主目的だった。
「なあ、エリクのおっさん。そんな仕事請けなくても、外の魔物を狩る方が早くないか?強くなるのにさ」
「そうよエリクおじさん。その方が早くお金も貯まるじゃないかしら?」
イバトとクレアが安易な発想で不平を並べる。それをやって血塗れで倒れていた奴等が、どの口で言っているのか。全く。
確かにその方が経験値も積めるし、金も手に入る。
だが、魔物との遭遇戦は余りに不確定要素が多すぎる。それは、死の危険を格段に上げる事でもあった。
武具の消耗率も激しくなり、手入れで済めばいいが、新調する必要があれば出費もかさむ。
身体と武具の消耗を最大限避け、報酬を得る。それが俺の冒険者としての方針だった。
俺は二人のガキの頭を小突き黙らせた。
隣街の往復を考えると、携帯食料が必要だ
。俺はクレアに三人分の食料を買い出しに行かせ、イバトには防具を買うことを勧めた。
このガキ達は無一文なので、当然俺が立て替える事となる。くそっ。出費がかさむ。
「防具?要らないよ。鎧なんか着けたら、動きにくいもん」
頭空っぽのガキが、防具の重要性も理解せず好き勝手な事をほざく。俺は強制的に一番安価な革の鎧を着させる事に決めた。
だがその時、イバトのあの俊足の事を思い出した。あの足は確かに武器になる。重い防具を身につける事によって、返ってこのガキの長所を削ぐ事になるのか?
俺は迷った結果、胸部だけ一部分の革の鎧を購入し、不満顔のイバトに着けさせた。クレアももどっできた為に、俺達三人は依頼の集合場所に向かう。
俺達、期間限定パーティの初仕事が始まろうとしていた。
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