無題のノート

小学校のころ、東京からの転入生がいて、最初はわりと浮いてたんです。風の噂で聞いたところによると、「群馬なんて田舎に来たくなかった」と。

気持ちはわかるが、それ公言してれば浮きますわな。こちらも東京へのあこがれがあるわけですから。

それでこう、悪口や無視がはじまったりしまして。


えっと、その、「どんな理由があってもいじめんな」というのは理解してます。理屈としては、すごく。それも踏まえてるんでちょーいとおまちをね、


浮くのといじめるのは違いますのでね。はい。


私も最初は嫌だったんですな。

私たちは東京に住んだ経験など、ないんですよ。もうほんと、ドラマや雑誌のあこがれの地なわけです。

日帰りで遊びに行くなんてこともかなわない。ぶっちゃけて言うと、貧乏な子たちの多い学区だったので。

その子の東京トークで憂鬱になると訴える子が増えてきた。


私からすればそりゃ群馬の子たちのほうが古い知り合いで幼なじみなわけですわ。そういうのが東京出身の彼女にとってはまた、気に入らなかったのでしょうけれど。

東京からの転入生はそのときがはじめてだったもんで。私はそういう意味で「ダチを守らねばモード」になりました。つまりヤンキーです。


いや守ってるっつーかいまにして思うとかんっぜんにもちつもたれつでしたが。そこはまだ、未熟だったので……自覚が足りず。


突撃をね、したわけですよ。いやよく覚えてる。プールの前の時間であった。

「なしてそーいな言葉でしゃべるん?」

「私は東京の出身だから」

「ここ群馬だがね。浮くのわかるべさ」

「うん。でもべつに、好きで来たかったわけじゃないし」

「そーなん? ワケありかい?」

美化はあるから!!!


まあそうやって、それから日数とかちょっとかけて、ちょいちょい、話を聴くと、彼女にとっても不本意な転校だったんだと。

東京の小学校で群馬に転校すると言ったら、東京の子たちに「群馬ってどーこーwwwww」とめっちゃ馬鹿にされたらしく。

泣きながら、転校してきたんだってさ。ド田舎に。


その転校の理由が、ご家族の転勤のほかに、彼女や彼女のごきょうだいの、健康面を考慮してとのことがあったらしく。

彼女は当時からとても賢いひとだったので、そこは充分理解して、けど、だからこそ、理不尽に耐え切れなかったらしくてな。

ずっと東京に住みたかった。放課後、遊びたかったと。


まあ……そうかい、とは思ったよね。

私だけではないけど、私を含む何人かで、ちょっとずつ、ちょっとずつ、「そーいやとーきょのあいつさー!」と悪口を言うていでじつはひなた口作戦みたいなの、してました。

好きで来たかったわけじゃないとわかると何人かはすぐに同情的になった。


まあそのあといちばん大きくトラブったのが、じつは彼女自身から「なんでそんなおせっかいなことするの!!!」と私も怒られてしまったことですw

あれはいじめではなくて喧嘩だ……いや先に手ぇ出してきたのは向こうでしたからね!!!?????


うん、まあそれは、どうにかしました。はい。個人的なことなんでしょーりゃくっ。


で、オチなんですけど、そのあとは家を行き来するようになり。いまも連絡先がわかる程度の仲です。

再会したとき私はまず、「当時、東京から転校してきたからって無視したり悪口言って、いじめてごめん」と言いました。

向こうも「ムカついたけど、まあ私もイヤミだったしね」と肩をすくめてたw


いや、本音すべてではないと思うよ。こっちがいじめをしてたのは、事実だし。

けど、そうやって肩をすくめる彼女のそのしょうがないなあみたいな顔が、たとえどす黒い感情を抱いたつくりものだとしても、ほんもので、私はぞくっとしたことをおまけとして記しておきますね。


と、まぁ、ツイートにしては長くなってしまったが。


彼女のことも、もちろん。

私は、そういう体験を、たくさん胸に秘めてます。

もちろん、こんなにすっきりいかない話もある。私自身、泣いて謝りたいことがほんとうにたくさんあり、そしてそういうことこそ、ここで言うだけでも、私が最低の人間でもあるとバレてしまうのが、怖いほどで。


謝れる場合だけじゃない。

謝りたかった。謝ってほしかった。謝りたかった。謝りたかった。

そういうのを祈るんです。そういうのを祈りの物語にしたいんです。

そういうのを小説にするんです。

べつにだれも信じてくれなくても私がこんなんなんでもう仕方ないけどそのことを真実に、したいです。


だからずーっと、私自身のことは、どうでもいいのでは、と言い続けている……いや嘘だと言われそうだけどねw


いろんなひととなかよくしたいなー。これからも。

こんな言い方はほんとはアレなのだけれどもw

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