ひみつ8がつ

むしろ○○を概念化してはいけない

きみは概念じゃない人間だとか美化してないとか神格化してないとか言って

けっきょく、してる。私は馬鹿すぎるというかなんというか、

なんというか……ほんとうに駄目だ。そういうところ。

私は私でがんばっている。

けど、それはそれ。

○○は概念ではない。

私の世界破壊をとめる勇者でもないし、

天才と呼ばれる人間の隣に生きるまことの天才でもなく、

私の根拠としての太陽ではない。

いや、じつはすべてそうだとしても、だから私がそう捉えちゃいけないんだってば。馬鹿。


○○は、○○だ。

いつもいつもそうやって自分の苦しみを○○という存在に押しつけるから

向こうだってきつくなってんじゃないか。もしかしたら。


そんな自分はほんとうにどうしようもなくて

でも死にたいとか言って逃げることももうできず だって○○いるし

けど、けど、○○の重荷になってるのであれば私は


どうすればいい


○○に嫌われたとか

嫌われないとわかっているけど

疲れさせてしまって

私は邪魔なの、と思うと


とても、くるしい。



○○を感動させたい



教会の解体



ねえ、ねえ○○

私すこし思ったの

××たちとお泊まりでマリオパーティーして意味とかないかもしれないけどすごく楽しくてね

げらげら笑って

きみのこと、でも、やっぱりすこし、片隅にあるの、それはいつもそうだよ。


私にはやっぱ友だちっていうのが必要なんだ。

それはずっと考えていたけれどもやっぱりそうなんだ。

きょうは××と遊ぶ前に、××とも、きみの住む××××で遊んできてね、

というのは私にとって××××はきみの住む街であると同時に××と遊ぶ街でもあるから

あときょうはね、××のほかに××ちゃんって友だちもいる。ほんと卒業ぶりに会うんだけどさ、

私の代の一組のクラスメイトで、当時からよくしてくれてたし、マイペースな子だから

ひさびさのよそよそしさもなく三人でほんと盛り上がったりしてたの。

あと、あとね、連絡を取ってたのは××さんってひとがいて、それは××××の若い男の子なんだけど。編集者としての才能がすごくあって、私のことも作家として買ってくださってるんだよ。その周辺には××××の才能ある男の子たちが何人かいて××さんっていうのはいつも絡んでいるひとだね。連絡取ったのはべつに雑談とかってことじゃないけど今月に××さんたちとみんなで読書会するんだ。そんときにね、××と予定ブッキングしちゃったからね、や、私じゃなくって××さんのほうがね、だから私そういうのも調整しなきゃって。

あとはね、××ちゃんっていう友だちもいる。連絡取ったの。きみは知らないでしょう? 私が話していないから。これはね、友だちの友だちっていう感じで遠い感じで知り合った友だちでね、クリスチャンで××××が堪能で、さっぱりしたおとなな感じの美人さんなの。人生苦労してて、ビールとか飲みながらそういうの語り合ったり、絵本の話をしたりしてる。

ねえ。ねえ。……ねえ。


私にはやっぱり、友だちが必要だ。

きみ以外の、人間が、私には、必要なんだ。


……きみがほんとうはどうかということまでは私は知らない。

きみにだって友だちはいるだろう。私の知らない人間関係もあるだろう。私の知らないとくべつも……もっているのかな。わからないし、きみがそういうのを求めたりするとは、思えないんだけど。でもそんなの私が断言できることじゃないよね。きみは求めなくても求められることはある性質だし、自分でも言ってたけど、そういうの、対処できるもんね。だから、そう言ったんだもんね。俺もそういうのはそういう場面ではできるよ、って。言ってたじゃない。


けど、○○は、私をとてもたいせつにしてくれる。


……私だってもちろんたいせつだよ、いちばんだ、いちばん。

ほかの人間なんてきみに比べれば人間じゃない。

そう、思ってた。……けどそれはそう思いたかっただけなのかもしれない。


きみ以外はゴミだとほんとうに思う夜もあるしそういう夜はむかつくやつを皆殺しにしたくなる。

けど、それはさ、なんというか私が外界に興味があるということの裏っかえしでさ

そうやって夜にはゴミだと思って心のなかでさんざん汚い言葉で醜く罵った相手に

次の朝、すくわれたりしてる

それはほんとうにささいなことで、たとえばラインが来ていたりとか、あるいは必要性があって会ったりしたときに、

ふっ、

と。私の思ってもいなかったような嬉しさを、希望を、くれたりも、するんだ。


私はきみの狭さはじつは最初ほんとうにびっくりした。

だれしももうちょっと他者というものを必要とすると思っていたから。

きみは ほんとうにいらなそうじゃない

……きみのほうが生きる力はよっぽどあるよ、

やなたとえだけど、たとえ私がいなくたってきみは淡々と生きていくだろうね。


けど、きみはね、

生きていってはくれるだろうけどね、

私がいなかったら、


ただ、ひとりで生きる


だけじゃない。


……私には、それがわかるんだよ。すごく、わかる。

もう理由とか動機を無理に求めることはやめようと思うからきみの言う着地点ってだけ言うけど、

私は、全世界のきみのほかの全人類と比べても、

きみをとるよ。○○。きみを、とるよ。


きみの煙草の本数が増えていくこと

きみがずっとひとりでいること

……前者はともかくさ、後者は、耐えらんないんだよ私

だってきみはひとりでも生きていけるのだもの

私がいなかったとしたらさ

ただ ひとりで

やるべきこときちんとこなして

ときにロッカーを持て余しつつ 煙草を吸いつつ

ひとりで 生きていくだけなんでしょう?


……そんなの私は耐えられないんだよ。


ねえ。だから私、きみほど狭い人間でありたかった。

私は、ちょっと思ったんだ。穂夏の家のお風呂に入りながらちょっとずつ酔いを醒ましてさ。

私はきみにほんとうにほんとうにあこがれている。……ほんとうだよ? すごく。

きみほど、ひとりの人間……私だけど。……そうやって愛せる人間でありたかった。

よっぽど、いちずだ。

きみは人生を賭けていたでしょう。

だったら私も人生を返したい。……きみのことにいちばん人生を賭けたい。


けど けど けどね


私はどうしようもなく、作家なんだ。……きみよりずっと、劣った人種なんだよ。

あるいは俗な人種、なんだ。


考えたこと 感じたこと

世界にね、知ってほしいの、

きみだけじゃなく。ああ、そうだ、そうだよきみだけじゃなく!


……私はね、そのことが、たまらなく悔しい。

だから、きみだけだけだけだけなんだと、無理に、思っていたのかもしれない。


きみはさ。きっとさ。だれかとくらべて私が好きなわけじゃないじゃん。

でも、でも、でも、ね。

私はきっと、そうなんだよ。……すくなくともはじまりはそこだった。

いまもひとに対して苛ついたとき 私わりと相手を殺したくなるくらい苛つくことが日常的にあるんだけどさ、

そういうときに きみに手を伸ばしてしまう

「ああ、○○だったらこうじゃないのにな」って。

……○○性、とでもいうのかね、変な言葉だけど。そういうの、ほかのひとにも求めちゃう。

もちろん、間違ってるよ。……もちろん。


純粋にきみを愛せていない私を赦して。

それでも私はきみといきたい。

……私は、○○と、生きたい。


きみのことがいちばん好き。

きみのことがどうしようもなく好き。

泣きたくなるし泣いちゃってる夜もあるよ。

ねえ、ねえ、もうひとのことは言わない。

きみのことがほんとうに、大好き。

だいすき。


だから、こんな、私でも、いっしょにいて、ほしい、……きみに愛想をつかされることばかり考えてびくびくして、

そんなことじたいが私のほうがむしろいろんなこと怯えているあかしで、きみのこと、いまだ信用できてなくて、

ごめん、ごめんね、ほんとうにごめんね、子どものように泣きわめきたいのねほんとうは、

けど、けど、それは違うし、

ねえ、ねえ、あのね ほんとうに好きなの


きみの隣にいることをどうか どうか ゆるしてほしいの

私がほんとうにどうしようもなくても きみほどすごいにんげんじゃ、なくとも

愛してほしいの いまのように ずっと


私はきみを愛してる。



きみの前以外では眠りたくない



ああ、ああ、よかった、よかった。

連絡があったこともだし……。

きみがちゃんと友だちと遊んでいてよかった。

きみにもちゃんと他者が必要なのだと再確認できてよかった。

きみが私以外のひとに対して私にはできない役割や価値や意味を求めるように、私だってほかのひとを必要としたっていいんだよね、ねえ。……それは単に私の思い込みだったということ、だもんね。


ほんとはね、ちょっとだけ、やいちゃうような気持ちもある。

きみのすべてを私がいちばんにしたいの。ほんとは。

けど、けど、それは無理だし、不健康だし、なによりも、極論だよね。そうだよ。……海のたとえくらいに、極論だ。


ありがとう。ほんとうに、ありがとう。

きみ以外のすべての人間には嫌われてもいいというのを私はどうも忘れていたみたいだ。

かたちだけ、残っていたし、しがみついてた。

でもそれはなんかいけないし、きみを論理的根拠にしちゃうのはちがうと思った。

そうしたくはなかった。

けどなんか私にも生活があるしもとはやっぱ人間嫌いなほうだから、私もね、そこにずぶずぶしてたんだと思う……。


ごめん。そりゃ、疲れるわ。○○が。


○○以外のだれに嫌われてもいい。そう。そうだ。

……そうやってうまく生きていきたいんだよ、私は。



伝統うんぬん言うのはそれじたいが問題というわけではなく、

キリスト教がカルチャーに堕ちてしまうのが怖い。


私自身は「キリスト教と言わずにキリスト教をやる」というところにかけてた。

だからこそなにか悔しさというか、違和感があるのだろう。


たしかに、ひろくひろまる。

けどカルチャーになってしまって、いいのか。


うーん。わからんなあ。

もっと話をきいてみたい、話をしてみたい……。

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