20161113(××OFFレポ)

いやあ、すごかった……。

こんなにも楽しく、意味があり、救済された××というのははじめてだったのではなかろうか。



いろいろ、ありすぎた。

すべてを覚えきれる自信はない。だがすべてを記録しておきたい。

ひとつひとつは自分のなかに染みわたる。そのことはわかっている。だが、記録しておきたい。

それほど尊い体験だった。



時系列順に書くのがいちばん安全かもしれない。





一日め。



夜の七時だか八時だか、もう忘れたけれど、そのくらいの時間に東京駅で××と待ち合わせ。

新幹線に乗る。きゃあきゃあはしゃいで、他愛ない話をした。なに話したか覚えていないくらいだなあ。

私のためにチーザを買ってくれて、分けてくれたのが嬉しかった。

××駅で乗り換え、××鉄道で××へ。

タクシーで××に移動。××さんとの電話で××に「電話うまい」と認めさせる。



宴会部屋で挨拶をし、××にさくっと荷物を置きに行く。

たしかこのときだったかな、××さんに「喋り方が変わった」って言われたの。こんないきなりだっけか、ちょっと記憶が曖昧なのだけれど、まあとにかく××がいて××さんもいるときに、わりといきなりそう言われた。「どう変わりましたか?」と尋ねると、「腰が低くなった」と言われた。「なにかあったんですか?」と訊かれたので、研究のことと○○のことを言ったが、××さんは○○のことのほうが納得しているようだったし、私もそちらのほうがそうだなと思ってしっくり来た。

あ、思い出した。宴会部屋行ってすぐに温泉に行って、××とはじめてお風呂に入ったんだ。



宴会部屋へ。

××が××さんに原稿を見せる。××さんは日本語文法のことをざくざく指摘する。

結果、××が堪えきれず、涙を流しながら××へ去っていく。

すぐに追いかけるのは得策でないと思ったのと、そのときの話がとても面白かったので、しばらくここにいようと私は残った。

××さんは「表現が間違っているのは、直せる。ここらへんの連中よりよっぽどうまい。柳さんが教えてあげればいいのに」と繰り返していた。

××さんとも再会。いつも通り。

××さんもいるなか、××さんの原稿に赤を入れようの会で大盛り上がり。おもに私が。ここらへんで、あれっ、と思った。私なんでこんなに××さんと××さん相手にべらべら喋れて、しかもわりと的確な指摘ができるのだろう、××さんにだぞ?と、むしろ違和感を覚えるが、楽しすぎて流れ流れて波乗りのように話をした。自分の喋り方がバーナード嬢の読書オタクになっていることも若干自覚。あとこのへんで、前参加したときには私に対してほぼ無関心だった××さんと××さんが、私のほうを見て喋るようになったことに気がつく。

一時間くらいか一時間半くらいか、もはやわからないのだけれど、そのあたりではっとなったのと、あとぶっちゃけ××さんの小説をていねいに読んでいくのが面倒で、××さんのようすを見に行くと言って宴会部屋を後にした。まあ、嘘ではない。ほんと。



××の隅っこの暗がりで、××が雪んこみたいになって泣いていた。わりと本気でびっくりした、一瞬ふとんにいるように見えて、寝ちゃったのかなって思ったから。

なんか変に似合うなーと真っ先に思い浮かんでしまった。

しゃがみ込んで、話を聴いた。××はかなりガチ泣きしてて、声を上げて泣くこともあり、さすがにこんなに泣いているのを見るのははじめてだな、と思った。

話を聴いていく、というか私が××さんの悪い面を誇張して繰り返し、××は悪くないと繰り返す。そうとしか言いようがないし、ときには論理的に正確ではないことが正解だったりする。

やがて落ち着いた。もう二度と温泉に来ないと言っていたけれど、それはどうだかわからないし、どうだかわからないよと言っておいた。

一日めは宴会部屋に行かずそのまま寝た。たしか三時過ぎだった。

はじめての泊まり旅行だという感じがせず、当たり前に話しているのが、頭ではふしぎだったけれど身体感覚ではふしぎではなかった。



そういえば、ちなみに。

この日の時点で、××さんとは再会していた。

「ご無沙汰しております」と言って、「わからなかった」と言われ、「変わったね」と言われ、「どう変わりましたか?」と言ったら、「元気になった」と言われた。





二日め。



七時半起き。眠い。朝ごはんを食べる。

××と私が自己紹介。××は「なつきさんのリアル後輩です」と言って自己紹介する。私は「いちおうデビューしています、消えたと思われていると思いますが、消えてないです」みたいなこと言って、うっすらとした笑いを買う。

××さんの車に乗せてもらうことにする。このときは、正直かなり不安があった。でも××さんとは話さなきゃ、という気持ちがあったし、話さなきゃ以上に、話さねばいけない、できることならば謝らせてもらいたいと、なんというかかなり罪悪感、みたいな感じで思った。

宴会部屋で出発時刻まで話。このときなにやったんだっけな、××と××さんと、あと××さんがいたことは覚えているのだけれど、いまいち具体的になにしたのか思い出せない。ああ、××さんがいたのかな。とにかく、わりと楽しくって、行く時間がもうちょい遅ければなーみたいに思ったような記憶はある。

十一時に××さんと××さんという彼女さん、かな、と合流して、車でアトリエドフロマージュに連れていってもらう。

××と××さんにもていねいな対応をしてくださる。

「好きなものを見つけて書くといい」「××さんの言うことは、××さんのやりかた」「××××さんはどうしようもなくて小説を書いて、家を買い戻したという伝説がある」「だれに向けて書くかを明確にする」

チーズドリアをおごってくださった。ブラックカードだった。



戻る。一時半くらい。宿は静か。

××は散歩に行く。××さんは宴会部屋でいっしょ。

××さんと××さんと××さんと××さんと、あとは××さんだっけな。

××さんと、畳二枚ぶんくらいの距離で、話をした。



「××ちゃんのことは、すごく心配してました」「高校生のころは自信満々だったよね」「あのころより、いまのほうが可能性を感じる」「いまなら電撃文庫で出すと言っても、なるほどな、と思う」「××ちゃんにはかなり才能がある」「できないことは才能。そんなこともできないというのはポイント高い」



ゆるしてもらえるなどと思っていなかったし、怒っているというか呆れられていると思っていたし、だから会うのが怖かったし、無視されても仕方ないと思っていた。

だから開口いちばん、心配だといったそのこと。その事実。

どうしようもないくらいに木漏れ日が見えた。



「電撃は別格ですからね」

「××ちゃんは電撃でよかったねー」

「××ちゃんは電撃でおもねず書けばいい、電撃はそういうところ」

「なるほど!じゃあ私は電撃でよかったなーってことですね!」

「「「電撃以外で書けるとでも思っているのか???」」」

「あっはい!書けません!すみません!」



電撃はやっぱりちょっと特殊らしくって。

そういえば一日め、××さんと朝ドラと映画の話をして、××さんも××さんも電撃は違うと言って、私はその流れで「じゃあ私は映画をつくるのをがんばります!」って言ったら××さんは「朝ドラをつくります!じゃないんだ」って言っていて、「僕は60本以上撮っていて」と言っているがそれはふだんのことなんで、「これからあと一本、いや数本は撮らせてくださいよー」と社会性を保った言い回しで、なおかつ自分を潰さないようにした。

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