リアルのすばらしさを教えて。

都稀乃 泪

1日目 真夏日の放課後

 じりじりと照りつける太陽が鳴りを潜め始めた十六時ごろ。夏季課外の後の部活の帰りに私、青椿あおつばきさやかが部活動の同期生である白峰しらみね那智なちと帰っていた時のことだった。

 その日は真夏日だった。


「ねえ、お祭り一緒に行かない?」


 那智がいきなり話を切り出した。辺りを見回してみると稲荷神社の夏祭りと花火大会のポスターの二つが目に入った。


「花火大会の方?」


 花火大会の方が日付が近かったのでそう尋ねると、那智は首を縦に振った。今年は既に他の友達に断られていて、私も相手を探していたところだったから、二つ返事で了承した。


 元来お祭りの類が大好きな私は、その日の帰り道にずっとそのことを考えていた。待ち遠しくて仕方がなかった。着ていく服やそれに合わせる靴、鞄なんかの小物を考えているうちに、あっという間に花火大会の前日になってしまった。

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