使い魔GO~元中年を添えて~
@sanryuu
序章
プロローグのようなもの
偶然や奇跡なんていつだって突然に起きるものだ。小さいものから大きいものまで。例えば小さいものなら10円ガムを買って当たりが出るとか、大きいものなら宝くじの一等に当選するとか、或いは……
――――――
「ふぅ~、さて始めるか」
昼食を食べ終え、再びデスクワークを始めようとしているこの男は吉田太郎(30)である。見たとおり何の特徴もない中肉中背の黒髪で、ただ小さな幸せを得るために仕事をしている。彼女がいたこともなく、何か大きなことをなしたこともない。誰もが思い浮かべるような普通の人、それが彼だ。
彼の人生で特に大きな出来事なんてなかった。せいぜい祖父母が死んでしまったとか、まったく受かると思っていなかった学校に偶然空きができたとかそんな程度であった。
だからだろうか……
彼は仕事を始める前に一つ屁をこいた。
偶然が起きるのはいつだって突然だ。偶然彼は仕事前に屁をこき、偶然その衝撃で心臓が止まり、偶然彼は突然死し、偶然………
「ほ???????????????」
偶然彼は別の世界で蘇った。
佐藤優人(2歳)
何もかもかもが唐突に終わり、何もかもが突然に始まった。
(?!?!?!?!?!?!?!?!?)
彼の頭は今混乱の嵐が吹き荒れていた。自分が今何になってどうなっているのかが理解できるからこそ彼は余計に混乱した。
(えっと俺は吉田太郎で仕事中で飯食べて仕事して佐藤優人になって今2歳で!?!?!?!?!?!)
その嵐は母親に抱きかかえられ布団に連れて行かれ、寝て、起きて、寝てのサイクルを100回以上繰り返したあたりでようやくある程度は落ち着いた。
――――――
(整理しよう)
ブロックのおもちゃを組み立てながらそう考えた。あの大混乱の嵐からもうすぐ一年ほどが経過しようとしていた。
(俺は・・・どうやら子供になってしまったみたいだ。どゆこっちゃねん。意味わからんわ)
(
そこには。
「――のフレアカノンが決まった!!!――は立ち上がれない!!チャンピオンが!今決まりました!!」
(絶っっっっっ対おかしい!!!)
この世界には魔法があった。
彼が魔法について知ったのはこの世で意識を取り戻してから翌日のこと。
この世界の習慣では幼稚園で習う魔法の基礎の基礎よりも前、あらかじめ魔法に慣れていてもらうために養育者が幼児の前で魔法を披露することになっている。
それにより幼稚園で初めて魔法を見ました、ということがないようにするのである。
本来ならば幼稚園や学校で魔法の訓練を授業に組み込むことはしてはいなかった。
しかし近年、授業で魔法の訓練を組み込まず、家庭での訓練を推進していた学校があったが、その学校の生徒の魔法練度のばらつきが無視できないほどになってしまったので授業に組み込まざるを得なくなってしまったという。
彼がまだ混乱のさなかにあったころ、両親に魔法を間近で見せられ、失禁してぶったまげたのも記憶に新しい。
ともかく、彼はこうして二度目の生を得た。
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