第94話 人類の夢2
「今日は外出するからって、肌の露出を極力減らしたのが間違いだったのかな?でも、日に焼けたくないしなー。うーん……」
仮面を装着してチームの女性陣と共にゼノの後方を歩くミラ。
サリア、ジュディス、ラケルの三名はこのポンコツ妹分が可愛いので、何も言わずに見守っている。
ゼノは最初から会話に参加する気はなく、少し先を歩いていた。
(俺に気の利いた返事は出来ないからな)
落成式をした王城の訓練場から亜空間を出て、健康のために世界樹まで歩く。
しばらく歩き世界樹を守る騎士の詰め所を素通りし、更に少しだけ歩いた。
世界樹の下に到着すると、世界樹の幻影が姿を現した。
「お待ちしていましたよゼノ、それに皆さん。ラケルの魂も喜びに満ちているようですね」
「ええ、大変楽しませてもらっていますよ。後で共有しましょう」
「ありがとう、ラケル。それでゼノ。貴方に来ていただいた理由をお話ししましょう……」
「ゼノ、此度の貴方の功績を認め。私の権限にて貴方に不老不滅を与えましょう」
「断る!!」
『えっ!?』
魔人より世界樹を守った。
だから不老不滅にならないか?
そう言われたゼノは、逡巡する事なく人類の夢を断った。
(良かった。ゼノさんだけ不老不滅?不死になったら、私が残して先に死んじゃって。ずっと悲しませちゃうからね)
(私も拒否に賛成だな。アイツが不老不死になんてなったらずっと引きこもって、ぼんやり畑仕事して生きてきそうだからな。やっぱ人間、刺激のある生活してナンボだぜ)
(あらあらー。ゼノさんって、かなり無欲なのかなー?)
「理由を聞いてもよろしいですか?」
「話すだけ無駄だ。人間の男でもない限り、理解出来んよ」
(これまでの30年間、女に縁がなくて童貞だったのに。無限の時間があるからって、女に縁が出来るわけがない。俺はそういう
「そう、ですか……」
「それに。何かを与えると言うのなら、既にラケルが居るからな。そっちはこの程度の褒美じゃ足りないと思っていても。俺が貰いすぎだと思い更に貰えば、それは堕落に繋がる。だから世界樹。他人行儀な礼などするな。俺達はもう仲間じゃないか」
「ゼノ……」
『ゼノ』
『ゼノさん』
「わかりました、ゼノ。いつでも帰ってきてください。私には貴方を、いつでも不老不滅の超絶美系エルフに変える事が出来るのですから」
「ファッ!?」
言うだけ言って、世界樹の幻影は姿を消した。
創生のころから生きる彼女にとっては、100日程度で回復するダメージではなかったのだろう。
「ちょ、世界樹!戻ってこい。話しを、詳しく話しをー!俺をイケメンにしてくれー!!」
女性陣のジト目を気付く事なく、ゼノはしばらくの間。世界樹に向けて叫び続けた。
彼の童貞卒業は、まだまだ遠い。
と言うか、来るのかだろうか……
(^O^)/あとがき
次話、ジュディスの閑話を入れて新章突入になります。
閑話は書き直し最中なので、投稿は遅れて未定となってしまします。
近況ノートとは逆になりますが、書き方が酷すぎてこれはダメなやつやとヘコみました。
なので書き方の勉強をしてから、投稿を再開させたいと思っています。
期間が空くことになりますが、今度とも生活魔法をよろしくお願いします。
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