ショタっ娘のお祭りデビュー(14)
「ふー、危なかったぁ」
「うふふ。でも、どうして、お兄ちゃんのだけ溢れそうになったんだろうね?」
「たぶん、ここに持ち運ばれてくる間に相当揺らされたんだろうな。あとは個体差によるかと」
「個体差? よく分かんないけど、炭酸の量が違うとか?」
「まぁそんな感じじゃないかね。例えばシャンパンでも、栓を抜いてもウンともスンとも言わないやつがあるし」
とまで話して気が付いたが、そういやまだ十歳のミオには、シャンパンが何なのかは分からないのか。
「しゃんぱんってなーに? 飲み物?」
「えっと、簡単に言うとワインの一種で、もっと分かりやすく表現するなら、炭酸入りのぶどう酒ってとこだな」
「それも溢れたりするの?」
「シャンパンの場合はコルク製の栓をするんだけど、開けた時に、栓と中身が勢いよく飛び出すこともあるのさ」
「え。こわーい! でも見てみたーい」
ミオは目を丸くしつつも、シャンパンの特性には興味津々といった様子だ。
シャンパンのコルク栓と中身が勢いよく飛ぶ、というのはある程度大げさに話した部分もある。事前にしっかりと準備を整え、開け方さえ誤らなければ、まず失敗することはない。
もっとも、めでたい席だとか、F1レースの表彰台で行うシャンパンファイトなんかだと、あえて中身が吹き出すように仕向けることもあるわけだが。
「そうだなぁ。ミオはまだ小さいからお酒のシャンパンじゃなくて、シャンメリーで見せてあげよっか」
「しゃんめりぃ?」
「シャンメリーは、シャンパンを参考に作った炭酸飲料だよ。ぶどうの一種であるマスカットとか、りんごの果汁を混ぜて作ってあるジュースだから、ミオでも飲めるんだよ」
「じゃあ、『良い子びーる』みたいな感じなのかな」
「まぁ一口で言うとそうだね」
ちなみにミオが例に出した『良い子びーる』とは、
それ自体はジョークアイテムという位置付けながらも、子供たちはちょっと背伸びした気分になれるし、何より味がうまいので、昔から根強い人気を持っているのだ。
おそらくミオも何かの折に良い子びーるを飲む機会があって、その存在を知ったのだろう。
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