私が存在できる架空の職場
廃他万都
第1話
私は、何と地域中から嫌われている。役所からも商店街からも、しかも全員、かもしれないってくらい、ものすごく嫌われている。理由は色々あるが、まずあまり好きになるようなとっかかりが私にはない。どのくらい嫌われているかというと道を歩いてるだけで騒がれるほどである。しかもそれをSNSで騒いだら、更に嫌われ方が体系化され、指示系統まで存在して包囲網まで形成される始末である。私が架空の人物かどうかは読み手がどう受け取るかに任せているが、まあそんな人物が存在しないなんて誰が証明できるだろうか。そして私は世界中から嫌われてる人物を知らない。そして私こそがまさにその世界中から嫌われてるたった1人の人物であるかもしれないが、単なる厄介者であるのかもしれない。
嫌われたところで私的に死刑宣告されるだけで実際死刑は行われない。
なら恐るるに足りぬ、と思うがやっぱり普通に仕事するにも人気とセンスがなければいくら頑張ってもダメなのである。
なのでここに自分が存在できる職場を作り上げて列挙するという狂気に駆り立てられたのだ。新幹線で無差別殺人するが如くの発狂パワーで自分が存在できる職場を列挙する。説明のできないビックバン的エネルギーは残らずテキストデータへと変換されていく。
まず理想の職場。ズバリ!自由出勤性である。しかも水商売ではなく見ず商売。ではなくて、なんつーか仕事はいつも溢れてて人手もいっぱいいるんだけどあまりにも仕事が多すぎてやった方がいいんだけどやらんでももう関係ないし出来るだけやって。みたいなのがいい。もちろんいっぱい仕事があるからお金も儲かってるけどどっちかというと仕事がキリがないのでいつ休むかの方が大事なんだけど自由なので誰がいつ休んでもそこそこどうにかなる類の、ライトワーク。
となると湧き出す何かを調査する仕事とかなんだろうか。接客は向いてないのでそういうのがいい。
働いてる人はすぐ去ってく人もいれば、大体自分とウマの合う人と固まって一人でいる人もそこそこ、で、話しかけなくてもいいんだろう的な余裕な空気が流れてて、でも何となく話しかけて良さそうな人とか、気がついたら話しかけてくる人もいる、のような感じ。なんか温泉宿場町みたいなのが浮かんだ。
温泉宿場町で謎の仕事をしている集団。でもみんな仕事の内容を知ってて、書いている自分自身だけ知らない。これって、いいかも。問いかけるような語りに主人公たちが答えていくような感じ。インタビュー形式ではないけれども第三者視点でその仕事をする人々を描いていく。
出だしは
これは、とある温泉街で働く者たちの記録である。記録者である者にはこの仕事内容は理解できていない。
みたいなのもいいと思う。
でも記録者である者、は余計か。
仕事内容は謎である。彼らは何処から来て何処かへか帰っていく。
みたいな感じであとは文語調でストーリーが進んでいく。文章もなんか違和感があってもいいと思う。
温泉街でみんなで泊まっているのかと思うと、そうでもなく、大抵夕食はある特定の定食屋で済ませ(というよりその街にはそこにしか夕食を食べられる店がない)、あとは何処へともなくバラバラと帰っていく。ある青年などは家が電車で4時間半の距離にある。彼はしかしその通勤時間でもこの仕事より自分に合うものはないという。
語り手が取材してるかのようだが実は神目線で、キャラクター一人一人の設定もよく理解してる上で仕事が謎、というのがおかしい。別に語り手が仕事内容を伏せたまま取材してるわけでもないのに、そもそも取材出来るような生命体、というか個人ではないのにだ。
そういう変な文章を書きたい。
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