第17話

それなのにいろいろと心の中で本人ですらよくわからない言い訳しながら、結局はバスに乗ってしまう。


奇妙なことに。


――とにかく……。


乗ってしまった限りは、目的の停留所で降りなければなりません。


それ以外の手立てはないのです。


私は決して眠るなと、自分に何度も何度も強く言い聞かせました。


あまりの気の張りようのためか、目は私の二十二年の人生の中で一番ではないかと思えるほどに、冴えに冴えわたっていました。


――これなら大丈夫だわ。


私はそう確信しました。


清清しい気持ちでした。


しかしそう思ったのもつかの間、私はまたしても意識を失ってしまったのです。


気付けば忌々しいことに、バスはいつもの山の中でした。


そして前にはいつもの運転手、同じ三人の乗客。


――まただわ。なんで?


そしてバスはあの停留所で停車し、不愉快な血の臭いを嫌がらせのように引き連れて、老婆が乗り込んできました。


が、私はあることに気がつきました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る