羨望の影

横断歩道で君と交差した。

君はちっとも気付かない。

気付くことなく交差した。


心がひとかけ立ち止まる。

「声をかけたい」

「近付きたい」

後悔のように立ち止まる。


それはいけない。それはいけない。

全ての価値が違うのだ。

君の時間を止めてはいけない。


今だけだ。今だけだ。

君の影へと前進す。

君の影へと前進す。


横断歩道で君と交差した。

君はちっとも気付かない。

気付くことなく交差した。


いつかまた会うその日には、

君の時間を止めるのだ。



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