追放された魔法使いは気ままに暮らしたい

こうじ

魔法使い、追放される。

「マークス・パトリット、お前は今日限りでこのパーティーから抜けてもらう。」

 あぁ、ついにこの日が来たか・・・・・・。

「わかりました、今までお世話になりました。防具とか道具は全部置いていきます。お金も入りませんので。」

 そう言って僕『マークス・パトリット』は部屋を出て行こうとした。

「ちょっ、ちょっと待った!?」

 何故か追放を宣言したこのパーティーのリーダーである勇者『ロコット・アルモア』が慌てて止めようとした。

「何か用でも?」

「あっさりと受け入れすぎだろっ!? 普通は抵抗とかするんじゃないのかっ!?」

「いいえ、僕は随分前からもう抜けたい、て思っていたんで。このパーティーの足手まといは自覚していたんで。そもそも僕の魔法は戦闘に向いてないんですよ。僕が使えるのは『生活魔法』ですから。」

 そう、魔法使いと言っても僕が使えるのは『生活魔法』と言うマイナーな魔法だ。

 黒魔術や白魔術は『戦闘魔法』と呼ばれ冒険者に必要なのは戦闘魔法の方だ。

 じゃあ、何故僕が勇者パーティーの一員になったのか?

 それは僕の発言に驚いている聖女『ミアナ・ラーゼフ』に原因がある。

 僕とミアナは同じ村の出身で同い年で幼馴染みで恋人だ。

 そんな彼女がある日突然、教会から聖女の称号を与えられた。

 最初、ミアナは『村を離れたくない、聖女になんてなりたくない!』と拒否していた。

 最終的な落としどころとして『僕が一緒についていく』事になった。

 偶々、僕にも魔力があったんだけど適性検査で調べてみたら生活魔法だった。

 この時点で辞退すれば良かったんだけど、当時の僕は『旅をしていれば強くなっていくだろう』と思っていた。

 が、世の中そんなに甘くはなく僕が出来る事と言えば雑用とか野営の準備とかそんな物。

 ミアナも最初は付き添っていてくれたけど段々と離れていったのはわかりましたよ。

 勇者に目がハートマークになってたからね。

 その時点で心が折れましたよ。

 更に言えば勇者達が陰で僕の悪口を肴にしていたのも知ってたよ。

 もう仲間とは認識されてないんだな、て感じたよ。

 だから、こちらとしては待ってました!と言わんばかりの追放宣言。

 正直言いたい事は山ほどあるけど荒波を立てるのは好きじゃないから抵抗せずに素直に応じる事にした。

「今度、魔法使いを仲間にするんだったら戦闘魔法を使える人が良いですよ。それじゃあ。」

 そう言って僕は改めて部屋を出た。

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