忘れられない風景がある
@su-zu
第1話 彼との出会い
キラキラ光るネオン街。
白い吐息。たくさんの人。
私はこの街でキャバ嬢というものをやっている。別に売れてないし、ただやりたい事も希望も無く、ただただなんとなく毎日を過ごしていた。
君と出会うまでは.......
私はこの日、同じお店で働く友人サキと待ち合わせをしていた。
サキが降りるバス停で待っていたが、時間がきてもなかなか来ない。
サキに連絡しようと携帯を開くと、ちょうどサキからメールがきた。
⦅バスに乗り遅れちゃって、ひとつ遅いのに乗ったからあと少しかかるの!ほんとごめん(>_<)⦆
私は、⦅分かった。近くのカフェに入って待ってる。⦆と送るとカフェの方に歩き出した。
すると突然、、『ごめん!寒かったよね!待った?』と言いながら缶コーヒーを渡された。
これが、君との出会い。
クシャッと笑う笑顔にポカーンとしていたが、ハッとして
「遅いよ。かなり待った!めっちゃ寒かったし!」と、まさかのノリにノリで返事してしまった。
『君、面白いねwww』って笑って
わたしも「何それwww」って釣られて笑った。
『これから仕事?誰か待ってたの?』
「休みで友達とディナーなんだけど遅れるみたいだからそこのカフェに入ろうと思ってたの。もう、寒くって。」
『そうなんだ。俺も先輩待ちでさー、そこにいたんだけど君が20分以上も同じとこにいるから気になっちゃって。』
そこで彼の携帯が鳴った。
どうやら待ち人が来たようだ。
彼は電話でその先輩と話をしながら、私の携帯を私の手から取り何か打ち込んだ。
びっくりして慌てていると、返された携帯には電話番号とメールアドレスが登録してあった。
彼は手を振りそのままネオンの光る街へ消えていってしまった。
彼は名前を登録しておらず、名前が分からなかった。
私は結局カフェに入ること無く、サキと合流した。
その夜はサキとたくさんお酒を飲んだ。
さっき会った彼の事も話したが、新手のナンパだねぇ!なんて言って笑ってた。
居酒屋とバーを3件ハシゴしたあたりでサキが潰れてしまった。
酔っ払って起きない彼女を連れて、今夜はうちに泊まってもらおうとタクシーに一緒に乗った。
マンションの下に着いて支払いをしようとした時、バックから彼からもらった缶コーヒーが出てきて思い出した。
そういえば名前...なんだろう?
部屋に着き、サキをベットに寝かすと私は缶コーヒーと睨めっこをしていた。
携帯を開き名無しになっているアドレスを見て、酔った勢いもありメールを送ってしまった。
「缶コーヒーありがとう。」と、
たったこれだけ。
私はこの日はそのままコタツで寝てしまっていた。
目が覚めると、サキは帰っていた。
起きたら彼氏からの鬼電に焦った。迷惑かけてごめん。今度お礼に奢るからー!と置き手紙があった。
時間を確認しようと携帯を開くと、未読メール2件。
そういえば、メールしちゃったんだった.......
2件のうち、1件はお客さん。
もう1件は彼からだった。
『どういたしまして(*^^*)みなみちゃん。』
ん?まてまて!なんで名前知ってんの!?
びっくりして、すぐ返信した。
「何者!?なんで名前知ってんの?」
『待ち受け、友達とのプリクラでしょ?チラッとみえちゃってねー笑』
「なんか慣れてますねー笑。こわー笑。」
『待って待ってwwwほんとたまたまチラッと見えて覚えてただけだから!俺ボーイの仕事してて、スカウトでもホストでもないしさ!笑』
こんな感じで、彼と何気ないメールのやり取りが始まった。
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