カエルの回想

 青空直下の畦道に、空気違えたパンジーひとつ。

 摘んだらダメよ、摘んだらメ。


 水も枯れがれ田んぼのそばで、親とはぐれた子どものカエル。

 生えた足すら気づかぬままに、つぶやき歌うは人の歌。

 摘んだらダメよ、摘んだらメ。綺麗な緑に赤白黄。

 無くした尾すら忘れたままに、思い出すのは母の声。

 摘んだらダメよ、摘んだらメ。素敵なお花は見てるだけ。

 こんなに綺麗な黄色のパンジー。峠を越えたらみんなに言おう。


 青空直下の畦道に、空気違えたパンジーひとつ。

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