第22話 メエルシュトレエム(大渦巻)
よせてはかえす、さざ
海風がおしよせるたび、
サーと
くぐもった
ときどき、ボヤケたモザイクに変じる
しばらく、またされます。形がさだまると、マメつぶほどの
スティーブンソン
彼は
お兄さんのダイに買ってもらって、さいしょはウキウキのホルスでしたが、今やありがたみも消えうせ、はやくもそれを、ウザイと感じるようになっていました。
「ちゅん、ちゅん。ちゅん、ちゅん」
「今、ヒマか?」
ダイからです。
「うん。ヒマ」
「ちょっと、たのみたいことが、あるんだ」
ホルスはダイにいわれたとおり、テンジン
くすりクサイ
全体がクリーム色でボタンが黒の、古くなった
男はホルスを見ずに、彼の後ろを、うかがっています。のびをして目を細め、
「ちっ」
と、
「これ、もってって」
どっと
カラッポみたいにかるい、たたんだ
みょうな
まっ先にかけつけたのは、心の
すべての
エリゼのTrustee(s)は、いつも
カンオンの
「メイワクをかけて、いなければいいが……」
ニコライの父親が、ぽつりといいました。
「なにいってんの、
母親が食ってかかりました。
「
「どこにいるか、わからないのよ」
「
「なにいってんの、その
「……」
彼は、コトバにつまります。
「
「どんなケガをしてるか、わからないじゃない。のこりの1%だったらどうするの!」
「どっちの
「どうして、そんなことがいえるの!」
「
「
「……」
そんなもん、あるかよ。と思いつつ、また、だまりこんでしまいました。
「……やっぱり、ムリがあったんだ。だから、ここに入れるのは
「なに、きゅうに
彼女は、あきれ
「してないよ。したところで
「なんで、そんなこと今さら言うの?
「すくなくともニコライの
「けっきょく
「そんなこと思ってません。かってに一人で
「ね、そうですよね」
「――え? ハイ」
ビクッとなる、キャッチャー(教師)のシュザンヌ。
「ほら、おとうさん。ちゃんと話し合ったじゃないですか(笑)」
しどろもどろに
「そりゃ、そういうよ。ショーバイなんだから。オレでもいうよ」
「口でなら、なんとでもいえるさ。そういことじゃなくって、わざわざ高い金はらってまで来る
「アナタは
「よくゆうよ、自分だろ!」
「あたしだって、お金はらってるんですからね!」
「ここただけな! 他は?」
日ごろからニコライをめぐって、二人はケンカが、たえませんでした。しかし、
口ゲンカをしている二人の前には、ジュリの母親がいました。彼女には、目の前のわかいカップルが、少しだけうらやましく
やっと
「みなさん、おはようございます」
コモンがまず、あいさつをします。
「さっそくですが、
コモンはサブ・トラスティ―ス(副理事)と、
「ゲホン、ゲホン、ウォホン、ゥン」
「えーなにぶん、サマーホリディ中におきましたことなので、えーワレワレといたしましてもぉ、はなはだ
ちらっと、コモンを見ます。
コモンはまっすぐ前を見たまま、かるく
「夏休み中におきたことだから、カンケイないってことですか?」
だしぬけにニコライの父親がいうと、まわりが
「えー……、そういうことでは、ありません。はぁい?」
コモンにふりむくと、
「ワレワレといたしましてもぉ、できるかぎりの手はですね、うたさせていただく
「ことがおきる前に、どうして
「ちょ、ちょっとあなた」
母親が止めに入ります。
「えーそうですね。ワレワレといたしましてもですね、
「
「はは(笑)、そうでございますねぇ……。いえ、そんなことは、ございません(キリッ)。われわれの
「聞くところによると、その男の子は、すでに一度、夜中にも
「ですから、そこのところはですね、ただ今、
「そっちは後でいいですから、ここの
「なにぶん、ワレワレといたしましてもぉ、ぜんれ……」
もおー、やめてよ。と母親は
「――でもそうなる前に、だいぶ時間てき
「えー……そう言われましてもですね、ある
「ちょっとそれ、どういうことですか」
ジュリの母親が、
「うちの子が、
「いえ、ぜんぜん、ぜんぜん。そぉーいうことではありません。はぁい。」
しつこいようですが、
でもホンネを明かせば、カラオケとおなじ、かわりばんこの
ちなみに、これらの
「――ことに、ことに、
ここだけは、かならず
となりで下から見ているコモンにとって、
たしかに、もっとも
今は
ホルスの家のちかく、スモウ川の
「ハイ、コレ」
ホルスがさし出すと、ダイは
「わすれろ。今日おまえは家にいたことにしろ。いいな」
「……」
「だれにも、いうなってことだ」
「あとコレ」
そういってダイは、セカンドバックを、さし出しました。ホルスはその場で開けて見ませんでしたが、中にはゴムでしばったプリペイドカードの
「れいのとこに、かくしとけよ」
「
うなずくホルス。
「今さら言いたくないが、とうぜん分かってるだろうが、だれにもいうなよ」
「
「今から、どっかいくの?」
「へんじは!」
と、声をあらげます。
「……うん」
間をおいて。
「……ちょっとな」
そういってダイは、じぶんの大きなサングラスを、こづくようホルスにわたしました。
「じいちゃん、じいちゃんだからな。ボケたことしないよう、ちゃんとみてろよ」
「いらんよ」
ホルスが返そうとしますが、ダイはわらって、うけとりません。
「おまえも、エリゼにいけたかもしれんのに、クソッ」
ペッと、ツバをはきました。
「はぁ? いきたかねーし」
「今はな。あとで、そう思うよ」
「おもわねーよ。あんなとこはクソだ」
ふふっと、ダイはわらいました。
それから後ダイは、こまごまとした
「また、なんかあったら、すぐ
そういって、彼は大きなカバンを
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