第2話
それ以来、私が考えていたのは
① 彼ら二人の息子さんたちは、(○○の)パンチドランカーが原因なのか。それとも、○○の先天的な血に因るものなのか。
② そんな子供を産んだ(種付けした)○○という人間は、いったい何を自分の自信として生きているのか。
③ 奥さんの希望する悪霊払いに、私としてどう応えることができるのか。
ということでした。
今年の七月中旬、六月で退去されたお隣さんの家を掃除しに来られた○○の奥さんに「この空き家に○○を住まわせたらどうです ?」と私が申し上げたのは、奥さんの要望③に対する私の直感的な回答であったのです。
○○とその二人の息子さんの三人がこの○○に同居することで、現在の○○家に取憑いた悪霊はいなくなる。悪霊が○○から○○町に移動したというだけのことですが、それでも奥さんと娘さんを悩ます悪霊は取り払われることになる。
特に娘さんは、自分もいつ悪霊に取憑かれるのか(精神に異常を来すのか)、結婚して子供が生まれたら・・・という不安で、とても家にいても安心できないという生活が続いているに違いない。
悪霊が取憑いた三人が顔を合わせて、共同生活する。
週に何度か奥さんが様子を見に来てあげればいいことで、食事など、このあたりでは様々なお惣菜が「半額セール」で手に入る。私のように、週に四~六日は自転車でこの炎天下の中、四万十市まで往復する位エネルギーを消費する人間でも、それで栄養補給できています。
肝心なことは、私・平栗雅人が、彼らの隣の部屋に居るということです。私は毎朝、金剛経というお経を読んでいますが、これを大きな声で読めば、彼らにもその功徳が伝わるでしょう。
その内、○○やその息子さんたちも一緒にお経を読むことで、彼らに取憑いた悪霊が出て行くかもしれません。もっとも、これには別の問題が発生するのですが。つまり、ある個体を出た悪霊は、今度は他の元気な筐体(入れ物)を探す。近所に幼児でもいればそこに行くかもしれません。古来より「悪霊退散」と人口に膾炙していますが、居場所が移るだけで決して死なないのです。
悪霊の元である○○をよく知り、ここ一年間、彼らを(断片的にではありますが)観察してきた私が至った結論は、①に関する限りは、○○の血です。パンチドランカーという後天的なものではない。
ただ、血と言っても、DNAというような生物学的な血ではなく、○○が子供の時に「悪霊」なるものに憑依されたのではないか。それは次回に述べますが、大学時代「○○は悪魔に取憑かれている」と見た人間がいるのです。
2019年8月4日 平栗雅人 ( 続く)
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