第2章、大魔術師は独立したい
第24話 魔王が来た
地面にめり込むシャドウ。
僕を倒すためにやって来た。プライベートで。
よくもまぁ、あの谷と壁を抜けてきたもんだ。
血糊は付いてないし手加減したけど、一応流れ的に木刀を振って何かを振り払う仕草をしてから腰のベルトに差し込んだ。
気を付け、礼。
「お疲れさまでした」
「……………まだ…負けてない…」
剣やら手裏剣やらが突き刺さる地面にめり込みながらシャドウが涙声でそう言った。
うーん。ハンデもう少しつけた方が良かったかなぁ?
でも向こうがつけてきた条件だったし…、うーむ。
「ま、いーや。ごめんクー。この人治療してくれる?」
『はい…』
ワーウルフのクーが恐る恐るシャドウに近付くと、ルーンを用いて治療を始めた。
さーて、僕もお風呂に入って来ようかな。
── ピンッ
「!!!」
僕の危険察知の能力に引っ掛かった。
全力で引っ掛かった方向へ向けて結界を集中。
すると壁の結界が遥か遠くから飛んできた光線によって破壊された。
砕け散る結界の欠片。
しかし光線はこの程度で相殺せず、そのまままっすぐに僕目掛けて飛んでくる。
ズガアアアアアアン!!!!
目の前のちゃんと生成した結界に阻まれて光線が砕け散った。
わーお。
久しぶりに壁の結界貫通された。
ビリビリと腕が痺れる。
「…来たね」
思わずにやけてしまった。
懐かしいこの感じ。
『ウィル様!!壁の結界全崩壊!!』
『森に配置していた予備の結界無事発動して被害はほぼありませんが、壁周辺の迎撃魔法陣が崩壊しました!!』
『ウィル!復旧まで時間かかるよ!どうする!?』
『何者かがこの森に転移してこようとしています!妨害不可!!』
次々に使い魔や精霊達から伝達が入る。
「メナード。みんなに伝えて、魔王が来るよって」
『ほう?俺様の攻撃を防ぐとはな』
空一面に魔法陣が浮かび上がり、座標指定の空間が現れる。
僕の張った妨害の罠を突破し、ある存在が現れた。
黒を基調とした中に唯一白の髪がさらさらと風で流れている。
紫色の瞳は僕を真っ直ぐに見ていた。
『貴様が俺様の誘いを断ったと言う、ウィル・ザートソンか』
魔界で魔族や魔物を纏め上げる存在。
魔王、サタン・ルシフェルフ。
「ええ、はじめまして。魔王さん」
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