第6話 夜明け 断章
ふいに、自由気ままに哄笑する他者に嫉妬する。彼らには、何がどう見えているのだろう。僕には、青い大空が、混沌とした海溝の最底辺に見える。僕には、緑一色の原っぱが、声のない閑散とした独房に見える。僕には、近代的な造形の家々が、人の罪を象徴する、見せしめの断頭台に見える。もし、これらの景色が、ほかの何かに見えるというなら、きっと彼らは幸せなのだろう。
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