第75話 大蛇の主は?

皆さんも、人生で一度や二度はやたらビシバシ動くタイプのリーダー格の人間に遭遇したことがあるのではなかろうか。 ちなみに私は三度ほどある。


一度目は小学4年生の時、学芸会をクラスでやる時になった時だ。ごんぎつねをやることになったのだが、そこでリーダーになったやつがやたらと指示を飛ばすタイプだったけれど、ただ飛ばすだけで自身はそこまで動けなかったから、結果的に顰蹙を買うタイプの子だった。


二度目は高校時代の時、文化祭でクラスの陣頭指揮を執ったやつの事だ。その時の子は所謂チャラついたタイプの子だったけれど、意外や意外、的確にシンプルに支持を飛ばし、そして彼も積極的に動くタイプだったので、出し物も大成功になった。


そして三度目は、今まさに勤めている会社の上司だ。その上司の名は大和美羽子という。彼女は私より年齢が一回り近く上らしいのだが、あらゆる芸能人のプロデュースや、グループのマネジメントを一人で全てこなし、しかもどれもトップレベルの人気にまで持って行っている敏腕っぷりなのだ。


当然、部下である私たちに対する要求も高ければ、指示もかなり凄いものが飛んでくるわけなんだけれども、不器用な私はいつもこなしきれないわけで・・・・


「おい、篠塚!何ボケボケとしてんの!?!? 資料仕上がったの!?」


「ひえっ・・・・すいません大和さん。何とか今日中には済ませますので・・・・。」


「頼むわよ・・・ほんと。」



と、まあこんな具合で私もヒイヒイ言いながら、仕事を進めていたのだった。


とはいえ、大和さんはしっかり仕事さえ済ませればきちんと評価してくれるタイプの人間であるから、私もそれに応えるべくしっかりと仕事をすることにしていた。


・・・・結局、思いきり残業コースになりはしたものの、私は無事資料を完成させた。


さあて、明日はオフだし、午前はぐっすり寝て午後からドライブにでも行こうか・・・なんて考えながら、地下駐車場に止まってる三代目パジェロの元に戻っていると、何やらその隣には異彩を放つ車が止まっていた。


ホワイトゴールドに塗られた大蛇のような有機的なボディラインを持ち、低くグッと構えたボディに、生き物の目玉のようにギロっとした丸目四灯ライトを備えたこの一台は、どの車にも似ていない独特な存在感を放っていた。


そう、この車の名を光岡オロチという。


うわあ、初めてみたな・・・誰が乗ってるんだろ・・・・なんて思いながら、オロチをまじまじと覗き込んでいると、


「あの・・・私の車がどうかした?」


という声が聞こえてきた。 振り返るとそこには、大和さんがいた。


続く。


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